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与三郎は村の衆から預かった品物を売って稼ぎにして帰ってくる途中、八人峠で山賊に出会い全てを奪われる。与三郎はその稼ぎでおみつを身請けするはずだったが・・・ |
以下村津優麒彦氏撮影写真 |
配役 与三郎:水村健治 おみつ:田島昭泉(ひげを剃っての出演) |
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「お二人さんよ
有り金はたいて
いきな」と七人峠の山賊
配役 山賊右より 浜田和市 原田常吉 |
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おい!
その金をよこせ!
配役 山賊の頭 右 今井良一 |
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ふたりで
身投げするしかねぇ |
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飛び入りの大工
「今日はどこに遊びに行くかな!」
配役 遊び人棟梁 橋良雄 |
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二人は赤平に身を投げようとしたが、山賊がしらがそれをかいま見てお金は返すと言ったが、子分が言うことを聴かず暴れる。そこに坊さんが来て皆野ものを諭す。
配役 坊主 橋良衛 |
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坊さんの言葉に
山賊も金を返し
心をあらためる |
めでたしめでたし 役者 左より橋毎保 橋良雄 橋良衛 浜田和市 原田常吉 今井良一 水村健治 田島昭泉 濱田栄 |
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村津優麒彦氏の「寸劇に寄せる散文」
寸劇 ある日の奈倉 小鹿野町奈倉妙見宮にて 村津優麒彦
雨が降っても、またその時の良さが…、というのが奈倉妙見様の秋祭である。耕地総出でこしらえた立派なかけ舞台を指差して、迫り来る時間にやきもきしながら相談を重ねる世話役さん達の姿。それぞれの役割分担をどのように果たそうかと出入りの厳しさでごった返す集会場入り口の雰囲気。反対に「雨風には関係ないよ」と役者の顔作りや着付けを黙々と進めている人たちの姿。平成6年10月1日夕刻の妙見さま兄弟の微笑ましい風景である。
時が過ぎ、膝を詰め合わせた観客たちがぎっしりと膝を詰め合わせた集会場の広間の中、まさに「立錐の余地もない」の表現がぴったりのようではあるが、どういうわけか、一升瓶を立てる余地だけはあちこちにできている。
「何が何だかわからないが面白い」というのが、奈倉会館の地芝居「寸劇・ある日の奈倉」である。このドタバタ劇、おそらく練習の通りにはとても進んでいないのであろうが、奈倉の地で奈倉の人々を前にして演じているからこそ弾んでいるのである。決して小鹿野町芸能祭に持っていける出し物ではないが、面白い。
「あの人が今年は出ていないが、どうしたのだろう」と最後まで観衆にそう思わせたのが絵描きのしょうせんさん。先ほど言葉を交わした時まであった鼻の下のヒゲを剃り落としての女形の演技に、観客たちはすっかり騙された。
笑顔を絶やさない橋良雄さんは、普段も舞台の上も変わらない喜劇役者。
「いい女がいないかなー」のセリフに「とし坊はどうだ」と奥さんの名をあげた時。間髪を入れない思いがけない言葉に、喜劇役者がその場に立ちすくんでしまう始末。
盗人たちを得道するために現れた坊さんこそ橋良衛さん、まさにはまり役かといえよう。時々照れ笑いさえしなければ、斉藤コ生さんの代理が立派に務められるのに…と思った観客も少なくは無い。 「ところで、この芝居の見所は…?」の質問に、「かぶりつきより後ろの方」と答えたくなるほどのひどい顔の作り。ところが「後ろの方でも気持ち悪かった」とは、望遠レンズを構えていた某カメラマンの言であった。
奉納を受けられた妙見さまも、おそらく「ありがた迷惑」の顔をされていたに違いないだろうが、それでも、この寸劇が果たした大きな役割効果が1つだけあった。あとから演じられる奈倉名物の「女歌舞伎」、その女歌舞伎を一段と引き立てるための前座を立派に務めてくれたのである。
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