「宮澤賢治20歳 ようばけへの旅」

1996(平成8年).10.5秋祭りでの興業  奈倉若連OB寸劇 ある日の奈倉 Part4

宮澤賢治生誕100年記念として
寸劇が公演された。
ヤブ医院内注意書き
「看護婦さんに手や足を出さないこと」
「みだりに先生に質問しないこと」
「病院内恋愛禁止」
「親子ゲンカ禁止」
「清潔第一」
さぁ
なにがはじまるか、、、?
健治さん 早く良くなるとイイですね
身体が弱く入院中の賢治
「お父さん。俺を高等学校か専門学校に出しておくれよ」

「またその話か。中学出てれば立派な男だ。
 家業を継げば名士になる。
 成績だってトシに比べて雲泥の差があるじゃないか。」
妹トシ
「お兄ちゃん具合どう?」
賢治
「うん、それより俺はソロバンはじく人生は嫌なんだよ」
トシ
「質屋の若主人には、勤まらないね。全くぶきっちょなんだから」
賢治
「俺も家を継ぐのは嫌でな。進学のことを母さんと一緒にお前からもたのんでくれよ」
看護婦ミネ
「トシさんからのお花飾っておきますね」
賢治
「ミ、ミネさんのこと。お、俺は・・・」
ヤブ医
「賢治君、顔が真っ赤だが熱が上がったかな?
ミネ君、さっきの検査結果はどこかね。
あれ?君も顔が赤いが?」
ミネ
「あ、はい」

横で聴いていた父政次郎
「進学も結婚もダメだぞ!」

その後、賢治は受験勉強に精を出し名門校盛岡高等農学校にトップで合格。一年後輩に保阪嘉内も入学。文学や農村の改革を語り合う。

農学校では親友らと熱い交流を交わした。

保阪「ロシアの文豪トルストイにあこがれ、理想の百姓になりたいと思っていました」
賢治「農村の貧困を何とかしたい!稲作の技術に改良に頑張りたい。」
小菅健吉「みんなで同人誌を出す話はどうする!」
河本義行「やろう!乾杯だ!」
秩父の奈倉に地質調査に参加
賢治 「やっと地球の窓と言われるようばけのある奈倉に着いたか。
 夢に見た”ようばけ”。私はこの新生代第3紀層の奈倉層を見るのが何よりも楽しみだったんだ」
関教授 「宮沢!何をぶつぶつ言ってるんだ!ようばけまで急ぐぞ」
賢治 「先生!胸がわくわくしますね!」
関教授 「宮沢!お前は本当に石が好きだなぁ」
賢治 「はい。特に石英粗面岩が大好きです。」

奈倉の農民「皆さん盛岡からですか!
 遠いところ 良くきましたね
 気をつけて行って下さいね。
 良い旅を 」
関教授 「この辺は昔、おだやかな海だったところだ。パレオパラドキシアや鯨やサメが居たところだぞ!みんなよく調べてみたまえ!」
河本 「あっ!ありました。大きな足跡が」
関教授 「さすが河本! おい、それは俺の足跡じゃ」
賢治 「それにしてもようばけの地層は素晴らしいですね。」
関教授 「そうだな。この地層は盛岡と違って面白いだろう。奈倉の人達はようばけを見ながら、ここに陽が当たるかげんで時間を知り、暮らしをしてきたそうだ。さぁそろそろ夕暮れだ。小鹿野の宿へかえるぞ」
賢治 「先生!一句浮かびました。
   さわやかに 半月かかる薄明の
    秩父の峡のかへりみちかな
  」
◆配役
宮澤賢治:水村健治
父、政次郎:原田恒吉
妹、トシ:橋毎保
看護婦ミネ:田島昭泉
保阪嘉内:今井良一
ヤブ医:橋良衛
友人、小菅:橋秀雄
友人、河本:濱田和一
関豊太郎教授:浜田茂章
奈倉の農民:橋良雄、浜田栄
◆その他
脚本:水村健治
ナレーター:茂木のり子
音楽:田島昭泉、田嶋敏男
背景画:田島昭泉
(セリフ等は台本を目安に要約し書き込んであります)
写真提供:大宮市 村津優麒彦さん

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