平成2年5月記載
新緑もまぶしい暖かな日、合角入口の付近で白き蝶が乱舞する。モンシロチョウより、ゆるやかに、そして少し重たき動作。よく見ると薄黒く見える。つかまえて見ると、羽は半透明で体は毛深い。
武甲山記念館でその標本を見た時から、透きとうる羽との出会いを楽しみにして来たが、武甲山同様の変わり行く合角の地で、その姿を見る事となったのも、なにか運命的なものを感ずる。
1年に1回、5月から6月にかけての、ほぼ1ヶ月だけ姿を見せる。前回のツマキチョウ同様、見られる時期も短かいので、知る人も少なく翔ぶ姿だけで判断はつけにくい。しかし、目が慣れてくると、走った車の中からでも区別がつくようになり面白い。型は小さく、尾状突起(後羽の尾)も無いがアゲハチョウの仲間である。地方によってカタクリの花に訪れるギフチョウも同じ仲間だ。
ウツギが株のふちに白く咲き、ハルジョオンの花が野原に揺れる。そんな道をドライブすると「あっ居た!」と、ウスバシロチョウが目に入る。と思いきや車のフロントガラスにぶつかり、ふらふらしてしまう蝶の交通事故も、春らしい感じではある。