7月7日 5時15分カルカッタのハウラー駅に着く。時間通りだ。インドも都市部近くは時間が正確なのだろう。駅のスタンドで朝食をとり、トラム(路面電車)乗り場へ行く。安ホテル街のあるチョロンギ通り行きのトラムがなかなかつかまらず大通りをうろちょろした。人や車がごったがえし、すさまじい喧騒だ。やっとつかまえたトラムには1等席があり楽ちん。そのうえ45パイサ(約15円)で目的の博物館前まで行けた。1泊朝食付きで50Reのモダンハウスロッジに入り込む。まずは帰りのバングラデッシュ航空の予約を済ませ、カルカッタ見物へと歩き出した。
市電 後ろはハウラー橋
ハウハウと言う中華レストランで、実においしいチョウチョウライス(チャーハン)、ヌードルスープ(ラーメン)を食べた。物を買ってくれとやたらにからみ付くインド人をよそに、郵便局から古レコード屋の並ぶニューマーケット通りを歩く。英語圏のロックに負けず、ギンギラのインド音楽がにぎやかに鳴っている。そこからハンバーグ、カバブ(イスラム風焼肉)などもかぶりつきながら市場に入り込み、インドの服の上下を買った。ターバンをかぶり一生髭を切らないシーク教の人。額に色粉でティカと言うマークを付けたヒンドゥー教徒。日本人に良く似ていて、向こうから来るとついニコッとしてしまうチベット人。イスラム教やジャイナ教の人もいる。市場は人種のるつぼだ。フレッシュジュース屋の前を通り、スイートショップでラッシーや度ぎついピンクのミルクシェークを飲む。中味が砂糖水の様なシュークリームも食べた。フルーツショップで初めて見る果物を買って帰る。
公営の水飲み所
夜8時 中華レストラン「香港」で揚げワンタンやヌードル物を食べる。何とは言え食べぐいの1日であった。
7月8日 6時 ひどい胃痛と共に下痢ピー。さも有りなんである。熱も7度5分ほどあった。朝食をとり薬を飲む。食欲はあるので食べては寝ていた。
7月9日 5時半起床 平熱。裕子は咳が出る。キンコンカンコンと、やたらうるさい時計台の音がたまに傷だが、朝の鳥の歌は実に美しい。空気のきれいな朝の市場で梨を買い、銀行で必要なルピーを換金して来た。
12時 熱のある裕子を置いて、楽器屋のあるモスクに続く通りに出かけた。以前からタブラが欲しかったのだ。余り商売熱心ではないマスター達に片っ端から値を聞きながら歩く。一番安く素朴な素焼の胴の太鼓を買った。モスクの近くにはそーめん屋、レーズン屋、肉ロール屋などもあり、にぎやかな所だ。乗りなれたトラムで帰る。
帰ると裕子は高熱にうなされていた。隣部屋の人に薬をもらい飲ませた。旅の疲れも出て、インド最後の地にたどり着いて、気も抜けたのだろう。部屋は暑いがファンは回さずに寝た。
7月10日 裕子はまだ熱がある。市場に果物類をしこたま仕入れに行く。リンゴ、プラム、バナナ、マンゴゥ、レモン、それにビスケット。レモンティをいれ、リンゴを剥いてやるとよく食べよく寝た。
夕食はロッジで知り合った日本人の毛登氏と2人でビールのあるレストランへ行った。とにかくよく食べよく飲んだ。
7月11日 裕子はやっと平熱になりホット束の間、自分がぐっと疲れが出て、悪寒がはしった。見ると39度近い。下痢も始まった。裕子には薬と氷を買ってきてもらい、頭を冷やした。ベッドの頭の所が水でびしょ濡れになったので、頭の方向を逆にして寝た。本当に日本に帰れるのかしら?と心配になってきた。
夜、毛登氏が見舞いにきたが、今日もビール1本で5時間ねばったそうだ。元気だ。
7月12日 5時起床 さわやかな朝だ。夜中にこのロッジの真っ黒なマスターがひとりで何か怒鳴っていたので、薬物でラリパッパーなのかと思っていたら、ボーイにビールを買って来させた時に25パイサ猫ばばしていたので怒っていたのだと分かった。僕の気分も幾らか良い。
6時 裕子が洗濯した物をテラスに干して置いたら、それをどかすインド人がいた。自分の物を広々と陽の当たるところに干していた。まったく人の事は考え無しだ。
11時 元気も快復したので2人、昼食をとりに行く。パルカパニール(ほうれん草のカレー)やナン、ローティもおいしかった。そこでハガキを書き郵便局へ。しかし今日は祭だと言うことで休みだった。心無しかにぎやかな通りをグレープやマンゴウのジュースを飲みながら歩く。映画「ガンジー」をやっていたが満員で入れずロッジへ戻る。
サトウキビジュース売り
何度も折り返し絞り直す。素焼きのコップは使い捨てだ。
6時半 「香港」へ夕食に行く。ライススープを食べウーロン茶でさっぱり。レストランでは大抵取られる飲酒税だが、今日はなぜか取られずに済んだ。祭だからか、大人が建物の屋上で凧をあげている。夕陽が美しく街の灯の中に沈んだ。
10時 インド最後の晩、毛登氏と共にラッシー屋へ行き最高のラッシーを飲み漁る。インドの思い出を語り合い帰る。毛登氏も同じ便で帰国の途に着くのだ。