地方自治体の収支には4つの数値表現がある。

財政赤字団体が6市町村2008/9  ●夕張市の破綻2006  ニュース2010大阪市職員削減でも・・・

1 形式収支(歳入歳出差引額)
 地方自治体のその年度の歳入総額から歳出総額を差し引いたもの。年度内に収入された現金と支出された現金の差額である。したがって現金の支出が年度内なければ、その年度内に発生した債務でもこの収支尻には現れない。そこで次の実質収支が工夫された。

2 実質収支
 形式収支から継続費や繰越明許費にともなって翌年度に繰り越すべき一般財源(これは当年度ではなく翌年度に属する)を控除して求める。これが最も重要な収支で、この実質収支が黒字の場合、黒字団体といい、赤字になると赤字団体という。この実質収支を標準財政規模で除した指標が実質収支比率で、赤字団体の場合、この比率が都道府県で5%以上、市町村で20%以上になると、(夕張市に見る破綻参照)地方財政再建特別措置法を準用した財政再建を行わないと起債が認められなくなる。またこの収支は累積の黒字又は赤字を示す。

3 単年度収支
 その年度中に発生した黒字又は赤字をいう。当該年度の実質収支から前年度の実質収支を差し引いて求める。この単年度収支は一定の期間をおいて赤字になるのが健全である。ときどき赤字にならなければ、黒字が貯まる一方であるが、こういった状態は家計では許されても、租税を徴収する統治団体としては許されないからである。黒字が累積するようであれば、黒字を取り崩して、すなわち単年度収支を赤字にして、行政水準を引き上げるか、または租税等を引き下げるか、いずれにしても市民に還元するべきである。とはいってもこの収支が三年度以上連続して赤字になるような場合は放漫財政の危険がある。

四 実質単年度収支
 これは単年度収支に地方債の繰り上げ償還額と財政調整基金への積立金を加え、積立金取り崩し額を差し引いたものである。実質的な債務の増加又は貯蓄等債権の増加を捉えようと言う指標である。

 実質収支比率とは、その年度の実質収支額を標準財政規模で除して得られる比率で、普通3%から5%程度が望ましいとされている。

戻る


決算収支の推移(7市町村法定協の資料より)

実質収支                                   (単位:千円)
  秩父市 横瀬町 吉田町 小鹿野町 両神村 大滝村 荒川村
平成 4年度 1,140,523 82,144 73,250 162,067 65,361 114,602 69,457
平成 5年度 1,178,372 59,740 80,144 135,089 43,945 130,596 58,842
平成 6年度 969,327 55,813 88,338 151,208 56,768 127,805 103,437
平成 7年度 881,147 102,856 102,849 155,564 60,207 162,672 101,120
平成 8年度 1,017,729 193,532 64,229 141,743 68,588 194,615 143,049
平成 9年度 887,976 193,976 66,378 134,747 57,769 156,386 176,804
平成10年度 914,182 171,998 33,065 226,335 63,766 124,192 131,840
平成11年度 860,152 178,670 58,683 177,712 87,625 136,875 195,688
平成12年度 1,229,437 137,168 62,220 161,928 66,472 156,242 167,854
平成13年度 1,090,166 143,821 84,634 171,451 161,366 152,961 150,179
平成14年度 1,131,850 142,862 65,787 189,244 41,958 155,440 205,858
全て長きにわたり黒字団体である。

秩父地域7市町村の実質単年度収支 (7市町村法定協の資料より)

実質単年度収支                     (単位:干円)
  秩父市 横瀬町 吉田町 小鹿野町 両神村 大滝村 荒川村
平成 4年度 312,334 84,889 137,795 109,987 11,395 −88,208 101,478
平成 5年度 −237,203 −86,404 17,994 −53,188 −44,925 −27,721 −8,488
平成 6年度 −742,056 −59,927 38,245 17,153 −83,673 −32,614 197,171
平成 7年度 319,716 202,043 40,052 −32,525 42,365 86,977 92,963
平成 8年度 644,288 230676 37,560 78,299 19,815 53,803 −31,498
平成 9年度 −20,206 349,444 149 −4,320 −22,484 23,222 13,765
平成10年度 217,510 198,022 50,327 143,443 −14,947 29,132 −178,364
平成11年度 73,240 95,992 62,624 11,295 153,782 14,270 16,529
平成12年度 671,890 −112,342 38,375 58,170 86,064 70,504 116,982
平成13年度 −35,210 −54,867 −9,270 22,139 −56,961 −2,280 50,971
平成14年度 −957,608 −130,959 85,655 −107,931 −68,478 −31,788 8,889

実質的な債務の増加又は貯蓄等債権の増加を捉えようと言う指標である。
この実質単年度収支の数値を見ると、ここ3年間赤字が出ているのは横瀬町、2年出ているのが秩父市、両神村、大滝村だ。
しかし債務の中には臨時財政対策債のような、後の交付税で全額償還される物もあるようで、近年は無理に赤字が引き出されているとも言える。
下の図の青いところが小鹿野の14年度の臨時対策債1億8千万円だが、これを差し引きすると上の図の青枠のマイナス1億793万円の実質単年度も黒字だ。
この様に平成13年度からはこの臨時財政対策債が債務を背負っているということも考慮が必要だ。

小鹿野町 平成12年度 平成13年度 平成14年度 平成15年度
地方交付税 1,870,000千円 1,840,000千円 1,710,000千円 1,440,000千円
臨時財政対策債 制度なし 60,000千円 180,000千円 350,000千円
合 計 1,870,000千円 1,900,000千円 1,890,000千円 1,790,000千円

もっと詳しく臨時財政対策債についてのことはこちら


2008/9/読売新聞● 北海道赤平市など6市町村、財政状態は「赤信号」とのタイトルで赤字団体・財政再生団体が公表された。
 「6市町村が、2007年度決算では、地方自治体財政健全化法で再生計画の策定を義務付けられる「財政再生団体」の状態にあることがわかった。
 このほか、38市町村は、健全化計画策定が必要で警告段階の「早期健全化団体」の状態。地方財政の厳しい現状が改めて浮き彫りになった。」とのことです。

 「再生団体に該当したのは、普通会計に加えて病院や下水道など公営事業会計も含めた「連結実質赤字比率」が基準(30%)を超えたり、借金返済の割合を示す「実質公債費比率」が基準(35%)を上回ったりした」団体だそうです。。

小鹿野は「連結実質赤字比率」は0なので該当しない。「連結実質赤字比率」は16.8%。良好


夕張市の破綻 平成18年(2006)12月記載

 夕張市は2006年7月25日に2006年度中の財政再建団体を申請する方針を表明し、以後総務大臣に指定を受けた。財政再建団体とは市区町村では赤字額が標準財政規模の20%を超えた破綻状態にあり、総務大臣に申請して指定を受けた地方自治体です。
有名な「映画祭」は中止、職員給与削減は2006年9月から実施することとなり、市長は50%、助役は40%、教育長は25%、一般職員も15%カットとなり、4億200万円の削減となる。市長の月の給与は86万2000円から43万1000円となるそうです。
 人口が約14,700人の小鹿野町では町長はすでに半額となっていて65万円が32万5千円ですので夕張市の人口が13,079人ということを見ても当たり前と言えば当たり前です。小鹿野は助役も置いていないのですからこれだけで充分というわけではありませんがすでに事前努力している訳です。
 夕張市では更には新規職員採用凍結や早期退職勧告により職員数も削減を予定しているそうだが当たり前。驚いたことに夏季ボーナスが、前年同期を上回る平均75万5000円支給された事がマスコミから暴露された。市長も職員にも危機感もなく、うるさい議員も居なかったと言うことでしょうか。と言うことは住民にも責任が有ると言うことです。もちろん国や道府県の監督責任も大きい。
 2010年までには職員数を現在の220人を70人程度までに削減する見通しとのことです。また、市が保有する観光施設31施設の内29施設を売却、廃止することも明らかになっています。

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

12/10 夕張の学校は現在小学校が7校、中学校が4校だそうですが、小中がそれぞれ一校に統一されるそうです。夕張市は南北に35q、東西に25qの広さとのこと。子供達への影響は大きい様です。罪のない子供達への影響は国が何とかしないといけないのではないでしょうか。なお、夕張市の面積は、約763平方キロメートルで、その約90%は山岳森林地帯です。(小鹿野町は170平方キロ)
 また、水道料金は1.66倍。(10立方で1470円→2440円。小鹿野では2ヶ月ごとの集計ですが1ヶ月に直すと2150円です)
 ひどい政府の見せしめだとの声も聞こえてきているようですが、悪い自治体もあるが見逃していた国もある。上位への同様の裁きはできているのでしょうか。破綻が表面化した7月から11月までの転出は昨年同期の1.7倍で289人が転出。このスピードでは30年程で人口は0人になる。地域崩壊ですね。

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

12月13日  夕張市の市議会改革検討小委員会は13日、市議会定数、議員報酬とも全国の市議会で最少・最低とする案をまとめ、議長に答申した。 定数は改選期を迎える来春の統一地方選から現行より半減の9人とし、報酬は42%減の18万円にカットする。小鹿野町議会は定数14人ですが、報酬は175,000円と夕張より低く埼玉一低い報酬額です。

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

2007/6 夕張市の借金は約632億円にまでふくらんでいました。市の負債は住民一人当たり486万円です。人口がピーク時で約11万人も、今では約1万3000人にまで落ち込み、税金収入も減ったので返せなくなってきたのが積もったわけです。自治体の借金ができる規模も決まっていたが、少しずつ借り足していったので積もってしまったのです。議会もそれを認め続けてきたと言うことです。
小鹿野のh18年現在の町債残高は73億ですがその内100%が交付税で帰ってくる臨時財政対策債などを削ると44億円程でしょうか。夕張は財政規模の10倍の借金。小鹿野は約等倍と考えれば借金が多いとは言えないのです。


[住民1人当たり 将来財政負担 大利根町、最多51万6480円]の読売新聞の記事を見る

市町村平均29万1786円 県「更なる健全化を」
 2005年度(平成17年度)普通会計決算から試算した、県内各市町村の「住民1人当たりの将来にわたる財政負担額」が25日、県市町村課の資料から明らかになった。大利根町の51万6480円が最も多額で、最も少ないのが東秩父村の5万346円だった。将来の負担額がそのまま「財政健全度」を表すものではないが、同負担額は将来返済を求められる「1人当たりの借金」であることから、今後の予算編成においても、返済能力を見据えた行政側のかじ取りが求められそうだ。
 「将来にわたる財政負担額」は、現在の借金に当たる「地方債残高」、将来決まっている支出の「債務負担行為」の合計額から、貯金に当たる「基金残高」を引いて算出される。これを人口で割った額が「1人当たりの将来にわたる財政負担額」となる計算だ。
 県内市町村の平均値は29万1786円だった。東秩父村が5万円台と少ないが、歳出削減努力に加え、「数年前に村有地で産出したケイ石の売り上げ約2億円を基金に積み立てたことが、大きく貢献している」(東秩父村企画財政課)という。
 同負担額が大きくても、住民や自治体の返済能力には差があることなどから、直接、“財政危機”を示すことにはならない。地方債発行に県の許可が必要となるかどうかを判断する「実質公債費比率」、財政の弾力性を示す「経常収支比率」などの各指標や、各地域の経済環境などから、総合的に判断する必要がある。
 しかし、多くの自治体では今後、職員の退職金負担や、少子化による生産年齢人口の減少などが予想されていることなどから、県市町村課は全体として「極めて厳しい状況」と見ており、更なる財政健全化が必要としている。 (2007年1月26日 読売新聞)

★讀賣新聞の記事で「1人あたりの借金額が小鹿野はワースト2」だとご指摘を受けました。

これにつきましては記事の後段にもあるように・・・
 『同負担額が大きくても、住民や自治体の返済能力には差があることなどから、直接、“財政危機”を示すことにはならない。地方債発行に県の許可が必要となるかどうかを判断する「実質公債費比率」、財政の弾力性を示す「経常収支比率」などの各指標や、各地域の経済環境などから、総合的に判断する必要がある。』
 と、言うことです。

 関口和夫小鹿野町長は特に重要な「起債制限比率」を16%台にとどめるように努力しています。18%になれば借金もできない評価となります。
 たとえば、政令市でもある福岡市では1人あたりの借金が204万円で起債制限比率は17.9%、実質公債費比率は21.9%にもなる。これ以上借金は許されない状況です。国県はこれを基準に事業とその補助を認めると言えます。極めて重要な数字にこだわり、町長も「第2の夕張にはしない」と断言しております。

 また、埼玉県自身で言えば日本の中で大変健全な位置にいます。
    47都道府県での1人あたりの借金を見れば(H17)
ワースト1位の島根県  161万円
    5位 東京都  113万円(借金総額は約17兆)
    19位 兵庫県  84万円
    36位 大阪府  65万円
    45位 埼玉県  48万円(総額約3兆円程の借金)
    46位 千葉県  48万円
    47位 神奈川県 39万円 
    と、ベスト3の埼玉の中での小鹿野の位置を御考慮下さい。

 ちなみに13の政令市でも1人あたりの借金は以下のようになっております。
    1位 大阪市  214万円
    9位 横浜市  134万円
    12位 札幌市  117万円などとならびます。
    13位 さいたま市はベスト1のようです。

 とは言え、あくまでも借金は少ない方がよいと言えますが、返せる力があるところが借金をして、いかに公共の福祉に当てているかいるかどうかが重要です。

 ちなみに小鹿野の1人あたりの借金は約44万円。埼玉県民としての借金と合わせても92万円です。大阪府大阪市にいる人だと280万円だという事もおわかりかと思います。でもあくまでもその基準だけでの評価は財政危機の判断にはならないと言うことです。

●実質公債費比率が18%を越える都道府県はこの時(H17)の資料では以下の4団体です。
       1人あたりの借金    実質公債費比率
10位 北海道  106万円      19.9%
19位 兵庫県   84万円      19.6%
21位 長野県   82万円      20.2%
33位 岡山県   71万円      18.8%


■「財政力指数」は、財政力の強弱を示す指標として用いられるものです。
■「経常収支比率」は、経常的経費のために経常的一般財源が、どれだけ充当された
かを示す比率です。
■「公債費比率」は、経常一般財源に占める公債費の一般財源所要額の比率を示すも
のです。

ニュース2010大阪市職員削減でも・・・
読売新聞(20100823)に寄りますと、「大阪市職員の1万人削減」という記事で現在政令市の中で最多の職員数の大阪市が3万9171人の職員の内、1万人を削減するとの方針だ。しかし削減してもなお、人口が大阪市より多い横浜市の職員数よりもまだ上回るとのことです。なんと関西の厚遇ぶりかとあらためて感じました。
(2006年6月、関西の人口が1万7千人ほどのある町の議員さんと懇談にて、「経費削減をしないと・・・」の話の中で「議員報酬はいくらですか?」と、訪ねたら、なんと『35万円』だそうです。手取りで30万にはなるのでしょうか。議員定数は16名だそうです。日本各地で格差があることに驚きを得ました。大阪市をはじめ関西は厚遇されている。その上交付税を投入されているのではバランスがとれない。と強く感じました。)


2021年入手 小鹿野町の財政力指数

私の議会活動は2009年まで。それ以後の落ち込みは町政の方向性の変化か

田島昭泉の議会報告