交付税を何億円も減らされたというのはごまかしか?

「こんなに交付税が減らされたら、町はやっていけない。財政的にやっていけないのなら合併もやむをえない」と言われています。

 減った交付税の大半は臨時財政対策債への振替え分

 各年度の地方財政計画から
(総務省自治財政局資料と小鹿野町予算書から)

2000年度

2001年度

2002年度

2003年度

地方交付税

214107億円

203498億円

195449億円

18兆693億円

臨時財政対策債
への振替額

(制度なし)

14488億円

32261億円

5兆8696億円

合 計

214107億円

217986億円

227710億円

23兆9389億円
小鹿野町 平成12年度 平成13年度 平成14年度 平成15年度
地方交付税 1,870,000千円 1,840,000千円 1,710,000千円 1,440,000千円
臨時財政対策債 制度なし 60,000千円 180,000千円 350,000千円
合 計 1,870,000千円 1,900,000千円 1,890,000千円 1,790,000千円
 ※小鹿野町も多少の増減はあるものの合計額は同額で推移しています。

 2002年度の国の予算をみると、たしかに多くの自治体で地方交付税が減額になっています。これは、これまで地方交付税として国が地方に交付してきたうちの一部分を、臨時財政対策債に振り替える制度になっているためです。ですから、地方交付税と臨時財政対策債を合計すれば、ほとんどの自治体で、それまでの地方交付税額を上回るか、それほど大きくは減っていないはずです。実際、国の地方財政計画では地方全体で、2000年度の地方交付税額と、この制度がはじまった2001度および2002度の地方交付税額と臨時財政対策債の合計を比較してみると増えています(表)。

 総務省も、「地方交付税は前年度比4%のマイナスとしたが、臨時財政対策債を加えると実質4.5%増となる。市町村長には地方交付税が減ったことだけを注視する傾向があるようだが、地方財政の運営に支障が生じないよう必要額を確保した」(河野・財政課長)と説明。

 臨時財政対策債とは

 この臨時財政対策債という制度は2001年度から始まりました。それまで国は、地方交付税の財源不足分を、地方交付税特別会計の借金でまかなって地方交付税として各自治体に交付してきました。この借金の将来の返済は国と地方が折半で負担するとしていました。しかし、昨年度から三年間の期限つきで、不足額を特別会計の借金でまかなうというやり方から、国負担分は一般会計で、地方負担分は各自治体の赤字債によってまかなうことにしたのです。これによって地方交付税は、それに応じた額が減るということになりました。各自治体が「地方交付税が大幅に(何億円とか何割とか)減らされた」といっているのはこのためです。

 とくに臨時財政対策債は、地方自治体の赤字債といっても、そもそも地方交付税の振り替えであり、その元利償還(借金返済)については全額、その返済年度に地方交付税として交付される仕組みになっています。つまり、各自治体の借金であり、返済義務も当然自治体にありますが、それに相当する額を国が交付税で措置するのです。地方財政法(第三三条の五の二)でも明記されています。

 ですから、地方交付税が減ったかどうかは、臨時財政対策債を加えた額で比較しなければなりません。この点にたてば、どこでも「地方交付税がこんなに減らされてはやっていけない。合併もやむなし」などと悲観的になる必要はないはずです。

〔※総務省は「臨時財政対策債の概要(2001年4月)」を示していますが、その要点は、(1)地方交付税の振替措置であり、2001年度から2003年度の三年間の臨時的措置であること、(2)臨時財政対策債の発行可能額の算出は、普通交付税の算定基礎である基準財政需要額の算式に準じること。対象となる費目の単位費用のうち一定額を臨時財政対策債に振替え、その分地方交付税の基準財政需要額の単位費用が減ること、(3)臨時財政対策債の返済(元利償還)については、その自治体が発行してもしなくても、発行可能額の全額を発行したものとみなし、その元利償還額相当分を後年度に基準財政需要額に加えるものとすること、です。
 なお償還条件は、据置き3年・20年間償還の政府債の利率として、基準財政需要額にはその理論計算値を上乗せする仕組みです。〕

 合併すればその地域全体に来ている地方交付税が大幅に減ります。だからこそ、政府は、合併市町村に対して、合併後10年間は、旧市町村ごとに合併しなかった場合の地方交付税を毎年度計算して、その合算額を下回らないようにして、これを合併支援策として宣伝しています。

町税
▲ここでしっかり現状の歳入を見れば、確かに町税等の減収はあります。この減収分を何とか調整して行くことは考慮しなければならないでしょう。

平成12年度 平成13年度 平成14年度 平成15年度
小鹿野町 町税 1,137,075千円 1,116,163千円 1,108,443千円 1,021,153千円
前年差 △70,440千円 △20,912千円 △7,720千円 △87,290千円
平成12年 − 平成15年 =1,137,075千円−1,021,153千円=115,922千円
なるほどこの4年間で1億1千6百万円の減となる。
この数字をあなたはどう見ますか?
やれば何とかなるのか。まったくだめなのか。

※この先50年での少子高齢化はすさまじいものがある。これに対抗できるかは、団体の大きさではなく、自助努力の精神だ。