バイオマス発電とは何か?

目次 1-1バイオマスって何!? 1-2バイオマス発電の種類
1-3火力発電の仕組み 1-4バイオマス燃料には何がある?
1-5木質バイオマス発電と森林の関係は? 1-6木質バイオマス発電と林業の関係は?
1-7「一石三鳥」を狙ったFIT制度!? 1-8バイオマス発電はカーボンニュートラルか!?

1-1 バイオマスって何!?

 「バイオマス」とは一体何でしょうか?英語では「biomass」と表記します。「bio(バイオ=生物体)」と「mass(マス=量)」が合わさり、日本語では、「生物体(生き物)の量」を意味します。ただし、近年は、エネルギーとしての石油資源に代わる生物資源の意味合いが強く、単に「生物から生まれた資源のこと」などと定義されます。森林の間伐材、家畜の排せつ物、食品廃棄物などさまざまなものが資源として活用されています。

 

1-2 バイオマス発電の種類

太陽光発電や水力発電など〇〇発電ということばをよく耳にします。〇〇には、電気に変換される前のエネルギー資源の名称がきます。なかでも「火力発電」はよく耳にすることばですね。例えば、石炭火力発電は、石炭を燃やして発電する発電方式のことです。

では、バイオマス発電の発電方式は何でしょうか?実は、バイオマス発電も火力発電なのです。燃料を火で燃やして発電をする点では、石炭もバイオマスも同じだからです。

1-3 火力発電の仕組み

火力発電のしくみを簡単に見てみましょう。

火力発電では、火のもつ熱のエネルギーを運動エネルギーに変えて発電する方式です。

⇒①燃料を火で燃やす。燃料は、石炭や石油、液化天然ガス(LNG)、バイオマスなどになります。

⇒②気体を発生させる。燃料を火で燃やして、気体(蒸気やガス)を発生させます。蒸気は、ボイラーで水を沸騰させて発生させます。

⇒③気体の力で機械を回転させる。発生した気体でタービンやエンジンを動かし回転運動をつくります。

⇒④発電機を回す。発電機を回して発電します。


火力発電のしくみ(まとめ)

①燃料

②気体

③機械

④発電

天然ガス、石油、石炭、
バイオマスなど

蒸気

蒸気タービン

 

発電機

天然ガス、石油

ガス

ガスタービン又はガスエンジン

石炭・バイオマスなど
(ガス化)

 

1-4 バイオマス燃料には何がある?

バイオマス燃料には4つの種類があります。
発電に使われるのは主に①と④です。
                                                                                                                                          

 

種類

燃料

主な用途

①木質バイオマス

広葉樹・針葉樹

ボイラーの燃料、発電燃料など

②バイオエタノール

サトウキビ、トウモロコシ、木材など

ガソリンの代替燃料

③バイオディーゼル

植物性油脂をメタノールとの化学合成物

軽油の代替燃料

④バイオガス

家畜の排せつ物、食品残さなどをメタン発酵させたもの

発電燃料


1-5 木質バイオマス発電と森林の関係は?

日本は、国土の3分の2が森林です。私たちの生活にとって森林は何を意味するでしょうか?

私たちの生活と森林の関係は、終戦以降の日本の歩みとともに変わってきています。戦後の復興や高度経済成期など日本の経済社会の変化とともに、林業のあり方も変わってきました。さらに、地球温暖化にともなうエネルギー・環境問題とも大きく関係しています。このような、世界・日本経済と地球環境が変化する中で、現在の木質バイオマス発電が登場しているのです。

かつての日本では、森林の多くは主に薪や炭などのエネルギー資源として利用されていました。薪や炭に使うための薪炭林(主に広葉樹)を育て、短いサイクルで伐採していました。

けれども、戦後の復興期に日本社会は急速な変化を迎え、1960年頃を境に森林の状況が大きく変わりました。高度経済成長期という大きな波の到来です。石油、ガスなどの急激な普及や、建築用材など大量の木材需要を背景に、薪炭林を針葉樹に植え替える「拡大造林」政策が推し進められ、未曽有の造林ブームが起こりました。その結果、今では日本の森林の約40%が人口林となりました。そして、人工林の面積の半分以上が、伐採の適期を迎えた50年生以上の樹からなる森林なのです。

これだけたくさんの樹があるなら、樹をどんどん切って売れば、商売は繁盛しそうですよね?実は、現在の林業は、採算性がとても厳しい状況にあります。樹を切りたくても、林業の採算性が成り立つだけの価格で販売できる市場が少ないのです。1980年以降、外国産の安価な木材の輸入や、国内の木材需要の変化などにより、木材価格は下降をたどり続けています。それに合わせて林業の採算性は悪化の一途をたどってきました。そのため、農村地域からの担い手の流出も相まり、伐採適期を迎えた50年生以上の森林は、伐採が進まないままに放置されている状況が現在も続いています。

このような状況のもと、近年、私たちにとって森林は、かつての経済的な機能よりも、公益的な機能の側面が強くなってきました。例えば、水や土壌の保全、生態系の保全、快適な環境づくり、レクリエーションの場の提供などです。

森林は防災の面でも重要な役割を担っています。最近、地球温暖化の影響でしょうか、全国各地で、集中豪雨等による土砂災害や洪水のニュースがよく飛び込むようになりましたね。これは、かつて森林がもっていた、樹木の根が土壌をつなぎとめたり、土壌中に水を保水するなどの機能が低下したためといわれています。とくに、針葉樹は土壌に張る根の深さが広葉樹よりも浅いと言われています。

ある研究では、地面がむきだしの裸地の場合、森林の植物で覆われている場合に比べて約150倍の土壌が流出するという結果が出ています。つまり、これまでの森林機能の低下に加えて、間伐(かんばつ)ではなく皆伐(かいばつ)による一時的または長期的な森林の消失は、土砂災害などの災害リスクを大きく高めることになります

 

1-6 木質バイオマス発電と林業の関係は? 

木質バイオマス発電と林業との直接的な接点となるのが、林業で発生する「林地残材」です。木質バイオマス発電の燃料となります。

「林地残材」は「未利用間伐材等」とも表現されています。

林野庁によると、未利用間伐材等とは、「間伐や主伐により伐採された木材のうち、未利用のまま林地に残置されている間伐材や枝条等」と定義されています。

これでは何のことかよくわかりませんよね。

もう少しだけ具体的にいうと、未利用間伐材等とは、「林業における枝打ちや切り捨て間伐、間伐や主伐で発生した、森林内に残置された未利用の木や枝」のことです。

さて、この意味がよくわかるように、以下では林業のサイクルをご紹介します。

【林業のサイクル】

通常、林業のサイクルは以下のとおりに行われます。

①植栽⇒②下刈り⇒③つる切り・除伐⇒④枝打ち⑤間伐
⇒⑥間伐・主伐(皆伐)⇒⑦更新

 

①植栽(1年目):木の苗を一定間隔で植えます。

②下刈り(1~6年目):苗が無事に成長できるように、周りに生える雑草を刈ります。 

③つる切り・除伐(10年目頃):同じく無事に成長できるように、木にまとわりつく灌木やつる植物を取り除きます。

④枝打ち(10~15年目):この頃までに、木は4~8m位の高さに成長します。重なり合う枝を切ることで、森林に光が入りやすくします。

間伐(15~25年目): 木が成長するにつれて森林が混み合うため、放置しておくと、細くて弱いもやしのようなに木になります。そのため、成長の悪い木や質の悪い木を選んで間引きます。通常、1~2回ほど行います。1回目の間伐、場合によっては2回目までは、切った林木を「利用しない」、切り捨て間伐となります。切った木は、未利用のまま森林内に残置しておきます。これが「林地残材」です。 

間伐・主伐(択伐・皆伐)(26年目~): 25年を超えると木も大きくなり、売って利益がでるようになります。収穫(利用)を目的とした伐採は、「主伐」と呼びます。一方で、間引きを目的とした伐採は「間伐」と呼びます。目的によって呼び方が変わりますが、切った木材を「利用する」という点においてはどちらも同じです。ただし、切った木材がすべて利用されるわけではありません。一本の木からとれる木材のうち、大部分(A材・B材)は建築用などに利用されるため、山から外へ運び出されます。一方で、残りの低質材(C材・D材)はA材・B材から切り離され、未利用のまま林地残材となります。 なお、主伐には、択伐と皆伐があります。択伐は、森林状態を維持しながら収穫します。一方、皆伐は一定の区域の木木をすべて伐採します。皆伐の後は、植栽などの森林の更新が求められます。

更新・伐採後は,何らかの形で森林化しなければなりません。森林に戻すことを更新もしくは再造林と呼びます。

間伐と主伐の違い、林地残材との関係

伐採の種類

伐採目的

作業の種類

森林の状態

木齢(年目)

材の利用状況

間伐

間引き

切り捨て間伐

森林状態を維持する

15~25

未利用
(林地残材)

利用間伐

森林状態を維持する

26~

・大部分は利用

AB材)

一部は未利用
CD材:林地残材)

主伐

収穫

択伐

森林状態を維持する

(状態としては利用間伐と同じ)

皆伐

森林状態を維持しない(森林の更新)

【木の伐採と販売】

森林を伐採する場合,森林所有者は自らが伐採するのではなく、伐採業者(素材生産業者と呼んでいる)に木を販売するのが一般的です。ここでいう素材生産業者とは、森林所有者から委託を受けて作業する会社や森林組合等の林業事業体です。素材生産業者が林木を伐採して丸太にして(造材),市場もしくは製材工場まで運んで販売します。

【課題】

現在の林業は、採算性がとても厳しい状況にあるのは、すでに述べたとおりですね。木を切りたくても、林業の採算性が成り立つだけの価格で販売できる市場が少ないのです。また、担い手不足の問題もあります。

これに加え、費用の問題から、森林をすべて伐採する皆伐を避ける傾向にあります。皆伐してしまうと、森林を更新しなくてはならないからです。更新には、費用も労働力もそして後継者の手間も増えてしまいます。そのため、多くの木が50年生以上の伐採適期を迎えていますが、皆伐を回避しながら、間伐や択伐を繰り返しています。

一方、すでに述べた通り、環境問題の観点からすると、皆伐により土砂災害の危険性が高まると考えられています。全国の土砂災害の事例でも、皆伐の跡地から土砂崩れが誘発された可能性が報告されています。

皆伐の例にあるように、経済と環境はどうしても矛盾する側面があります。

エネルギーと林業、環境問題の3つが絡み合う現在の日本の森林をめぐる現状に、私たち生活者は、どのように向き合うべきでしょうか?


1-7 「一石三鳥」を狙ったFIT制度!?

エネルギーと経済、環境の3つの問題を解決できるか!?

これまでに木質バイオマス発電が登場してきた背景を、エネルギー、林業、地球温暖化の3つの分野の課題から見てきました。

けれども、木質バイオマス発電をはじめ、再生可能エネルギーは、まだまだ高コストの技術であるため、導入と普及には、国による事業への経済的な支援が必要となります。

そこで登場したのが、FIT制度(固定価格買い取り制度)です。
FIT制度は、再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度です。電力会社が買い取る費用の一部を電気を利用する私たちから「賦課金」という形で集めているのでしたね。

ここでは、木質バイオマス発電、とくに「間伐等由来の木質バイオマス」に焦点をあててお話しをします。

まず、FIT制度の屋台骨となる法律が、2012に施行された「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」です。通称「再エネ特措法」で、「FIT法」とも呼ばれます。

この法律のもとで、制度運用のためのルールが整備されていきます。例えば、発電方法の違いによる、電力会社による電気の買取価格の違いについてのルールです。太陽光発電とバイオマス発電とでは、発電方法や発電規模が異なるため、事業者が負担する発電の費用も異なってきます。そのため、発電方式や条件に応じて、相応の買取価格が決められています。

例えば、木質バイオマス発電においても、燃料を何にするかで、発電した電気を買い取ってくれる価格が異なってきます。

 木質バイオマス発電の買取価格(20年間)

燃料の種類

電気の調達価格

1kWhあたり)

①間伐材等由来の木質バイオマス

40円(2kW未満)

32円(2kW以上)

一般木質バイオマス

24円(2kW未満)

21円(2kW以上)

③建築資材廃棄物

13

                    (出典:林野庁) 

 燃料の種類について、パッと見た限りでは、③は明らかに①と②とは違うのがわかりますね。

では、①と②は何が違うのでしょうか?

「間伐等由来の木質バイオマス」とは、何でしょうか?

「一般木質バイオマス」とは?

①と②について、ことば上での定義はそれぞれありますが、 どちらも山から伐採してきた木が対象となるため、 形状などの外見からは、①と②の区別はつきません。

そこで、「その木がどこからどのようにして伐採されたか」によって、①と②が区別されます。つまり、木質バイオマス燃料となる木の生育に関する「由来」が問われるのです。

生育の由来は、「森林」を前提とし、「どこから」に対応するのは、民有林(私有地)か、保安林か、国有林か、「どのように伐採されたか」に対応するのは、森林経営計画や施業実施計画の範囲内外か、伐採方法が間伐か主伐か、になります。

 

生育由来

間伐

主伐

森林

民有林

その他

森林経営計画外

 

 

森林経営計画

保安林

国有林

保安林

国有林野施業実施計画

国有林野施業実施計画外

(出典:林野庁をもとに作成)

 そして、これらの「由来」については、「木質由来バイオマス証明書」の発行を通じて証明される仕組みとなっています。

証明書の発行は、認定団体から認定を受けた、認定事業者が発行できます。

認定事業者は、実際に伐採を行う林業事業体などが認定を受けるケースが多いようです。

つまり、木質バイオマスの適切な燃料調達など、FIT制度の信用性は、証明書を発行する認定事業者の信用性に大きく依存しているといえます。


1-8 バイオマス発電はカーボンニュートラルか!?

バイオマス発電はカーボンニュートラルであると言われます。
実際はどうなのでしょうか?
そもそも、カーボンニュートラルとは何でしょう?
和訳すると「炭素中立」です。

まず、植物の光合成を考えます。光合成により、植物は体内にCO2を取り込みます。これが、植物によるCO2の「固定」です。

次に、植物が燃やされるとどうなるか。CO2が大気中に放出されます。結果として、植物がCO2を取り込む量と放出する量が同じになります。
つまり、大気中のCO2の量はプラスマイナスゼロになります。これが「炭素中立」の意味です。

では、「炭素中立」のバイオマス発電は、地球温暖化対策に有効なのでしょうか?

まず、木質バイオマスの例ですと、木の成長には時間がかかります。そのため、毎年、大量の木を伐採し続けると、CO2を固定する木の量が少なくなり、大気中のCO2の総量は以前よりも増えてしまいます。

また、木質バイオマスの「ライフサイクル」でのCO2排出量にも注目する必要があります。例えば、木の栽培、伐採、運搬、製材・加工などの過程でCO2が多く排出されてしまうと、炭素中立の本来の意義からかけ離れてしまいます。


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