1989.2沖縄国頭村奥にて
ある日、奥の村が一望でき、向こうに与論島の見える神社山でスケッチをしていると、老夫婦が登ってきた。13年ぶりに、この地へ来られたとのこと。お話を伺ってみると、私たちがお借りしている家に2年半住んでいたとのこと。定年後それまでの世界を捨て、お二人で全国各地に移り住み、書に精進されたとのことです。幾日か誘いさそわれ歩き語らい、奥深き氏の哲学を聴く事ができた。80歳とは思えぬ若さで、2週間の滞在中は毎日歩き回り、さらに見聞を広めんと自然や人と交流し、心の自由と身体の健康を持ち続けるご様子でした。
私たちも沖縄での滞在を終え、その後、この御老人と手紙のやりとりをしている中で御本を送って下さり、その偉業を知ることとなりました。その御老人こと川崎白雲(旧名梅村)さんです。白雲さんはかつてイーデスハンソンさんの案内の元、1962年にアメリカを揮毫(きごう)しながら3ヶ月を掛けて横断し日本文化である書を多くのアメリカ人に知らしめ、さらには書の高い芸術性を極めて来られた方だったのです。
白雲さんとの文通交流の中で頂いた御本の中から一部をご紹介します。