直接請求、住民投票について

■直接請求制度の意義
 地方自治制度においても、国政と同様に、地方公共団体の住民によって選挙された代表者により行われる間接民主制を原則としていますが、この運営が住民の意思に反して行われようとした場合に、間接民主制に伴う欠陥を補完し、住民自治の理想を実現するために、住民に直接自己の意思を表示する機会を与える直接請求制度があります。

■直接請求制度の種類
 地方自治法の定めている直接請求は、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者が一定の連署をもって、その代表者から請求するもので、次のものがあります。
 1条例制定(改廃)の請求
 2監査の請求
 3議会の解散請求
 4議会の議員及び長の解職請求
 5主要公務員の解職請求
  
   このほか、他の法律によって同種の制度が認められているものに、次のものがあります。
 6市町村合併協議会設置等の請求 ←吉田町で実施されました。
 7教育委員会の委員の解職請求
 8農業委員会の委員の解任請求
 9海区漁業調整委員会の委員の解職請求
 10土地改良区総代の解職請求

■直接請求の手続き
 1.条例制定(改廃)の請求
 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者は、その総数の50分の1以上の者の連署をもって、その代表者から、地方公共団体の長に対して、条例の制定又は改廃の請求をすることができます。

 (1)請求代表者証明書の交付申請
 請求代表者は、請求の要旨など必要な事項を記載した請求書を添え、市長に対し、文書で請求代表者証明書の交付を申請します。

 (2)請求代表者の資格の確認及び請求代表者証明書の交付
 交付申請があったときは、市長は直ちに選挙管理委員会に対し、請求代表者が選挙人名簿に登録されている者か確認し、登録されている場合は、請求代表者に証明書を交付し、その旨を告示します。

 (3)署名の収集
 請求代表者は、請求者署名簿に(1)の請求書と(2)の請求代表者証明書(両方とも写しでも可)を添付して、市の議会の議員及び長の選挙権を有する者に対し、署名押印を求めます。署名の収集期間は、市町村にあっては1カ月以内となっています。
 請求代表者は、自ら署名を収集するほか、選挙権を有する者に委任して署名の収集をさせることもできます。この場合には、受任者の氏名等を市長及び選挙管理委員会に届け出なければなりません。

 (4)署名簿の提出
 請求代表者は、署名簿を市選挙管理委員会に提出して、署名押印した者が選挙人名簿に登録されている者であることの証明を求めます。
 署名簿の提出は、署名収集期間の満了の日の翌日から、市町村にあっては5日以内です。

 (5)署名簿の審査
 市選挙管理委員会は、署名簿を受理したときは、その日から20日以内に署名簿について審査し、署名の有効・無効を決定します(署名審査録を作製する)。
 また、署名押印した者の総数及び有効署名総数を告示します。

 (6)署名簿の縦覧
 市選挙管理委員会は、署名簿の証明が終了した翌日から7日間、指定した場所において、署名簿を関係人の縦覧に供します。署名に関し異議がある人は、縦覧期間中に異議の申出をすることができます。
 市選挙管理委員会は、異議の申出をうけたときは、その日から14日以内にこれを決定し、修正、通知などの措置をします。

 (7)署名簿の返付
 市選挙管理委員会は、異議の申出が全くないとき又はすべての異議を決定したときは、有効署名数を告示し、署名簿を請求代表者に返付します。
 返付の際には、署名簿の末尾に署名押印した者の総数、有効署名数及び無効署名数を記載します。

 (8)本請求及び受理
 本請求は、署名簿の返付を受けた日又はその効力が確定した日から、市町村に関する請求にあっては5日以内に、条例制定(改廃)請求書に50分の1以上の有効署名があることを証明する書面及び署名簿を添えて、市長に対し条例制定(改廃)の請求をします。
 市長は、署名簿の署名数が法定署名数以上か、請求が期間内に提出されたかを審査し、受理するか否かを決定します。受理したときは、その旨を請求代表者に通知し、告示します。

 (9)本請求受理後の措置
 市長は、請求を受理した日から20日以内に議会を招集し、意見を付して議会に付議します。

 2.監査の請求
 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者は、その総数の50分の1以上の者の連署をもって、その代表者から、地方公共団体の監査委員に対して、監査の請求をすることができます。

 (1)請求代表者証明書の交付申請から本請求まで
 請求代表者証明書の交付申請から本請求にいたる手続きの流れは、次の点を除き、「1.条例制定(改廃)の請求」の手続きと全く同じです。
  (a)1.(1)の請求代表者証明書の交付申請は、地方公共団体の監査委員に対して行います。
  (b)1.(2)の請求代表者の資格の照会確認及び証明書の交付は、監査委員が行います。
  (c)1.(3)の署名収集委任届出は、監査委員及び選挙管理委員会に届け出ることになります。
  (d)1.(8)の本請求は、監査委員に対して行います。また、受理の決定もその旨の通知、告示も監査委員が行います。

 (2)本請求受理後の措置
 監査委員は、監査の請求があったときは、直ちに請求に係わる事項につき監査し、その結果を請求代表者に通知し、告示することになります。

 3.議会の解散請求
 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者は、その総数の3分の1以上の者の連署をもって、その代表者から、地方公共団体の選挙管理委員会に対して、議会の解散の請求をすることができます。
 しかし、この議会の解散請求は、当該議会議員の一般選挙又は議会の解散請求に基づく解散の賛否投票が行われた日から1年間は行うことができません。

 (1)請求代表者証明書の交付申請から本請求まで
 請求代表者証明書の交付申請から本請求にいたる手続きの流れは、次の点を除き、「1.条例制定(改廃)の請求」の手続きと全く同じです。
  (a)1.(1)の請求代表者証明書の交付申請は、地方公共団体の選挙管理委員会に対して行います。
  (b)1.(2)の請求代表者の資格の照会確認及び証明書の交付は、選挙管理委員会が行います。
  (c)1.(3)の署名収集委任届出は、選挙管理委員会に届け出ることになります。
  (d)1.(8)の本請求は、選挙管理委員会に対して行います。また、受理の決定もその旨の通知、告示も選挙管理委員会が行います。

 (2)本請求受理後の措置
 選挙管理委員会は、本請求を受理したときは、解散の賛否投票に先立って、20日以内に議会から弁明書を徴し、請求の要旨と併せて、解散投票の投票期日の告示とともに告示し、投票所の入口等に掲示します。
解散の賛否投票は、本請求の受理の告示日から60日以内に、原則として公職選挙法の定める手続きによって行います。
 議会は、解散の賛否投票において過半数の同意があったときは、解散することになります。

 4.議会の議員及び長の解職請求
 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者は、その総数の3分の1以上の者の連署をもって、その代表者から、地方公共団体の選挙管理委員会に対して、当該所属の選挙区の議会の議員又は長の解職の請求をすることができます。
 しかし、この解職請求は、当該議員又は長の就職の日から1年間及び解職の賛否投票の日から1年間は行うことができません。(無投票により当選した者は除きます。)

 (1)請求代表者証明書の交付申請から本請求まで
 請求代表者証明書の交付申請から本請求にいたる手続きの流れは、「3.議会の解散請求」の手続きと全く同じです。

 (2)本請求受理後の措置
 解職の賛否投票は、本請求の受理の告示日から60日以内に、原則として公職選挙法の定める手続きによって行います。
 議会の議員又は長は、解職の賛否投票において過半数の同意があったときは、職を失うことになります。

 5.主要公務員の解職請求
 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者は、その総数の3分の1以上の者の連署をもって、その代表者から、地方公共団体の長に対して、副知事若しくは助役、出納帳若しくは収入役、選挙管理委員若しくは監査委員又は公安委員会の委員の解職の請求をすることができます。
 しかし、この解職請求は、当該主要公務員の就職の日又は解職請求に関する議会の議決の日から1年間は行うことができません。
 この解職請求は、住民の賛否投票に付するものではなく、長が議会に付議し、当該議会において議員の3分の2以上の者の出席により、その4分の3以上の者の同意があったときに解職されるものです。

 (1)請求代表者証明書の交付申請から本請求まで
 請求代表者証明書の交付申請から本請求にいたる手続きの流れは、「1.条例制定(改廃)の請求」の手続きと全く同じです。

 (2)本請求受理後の措置
 市長は、本請求を受理したときは、これを議会に付議し、その結果を請求代表者及び被解職請求者である関係者に通知します。

署名簿はどのようにして作成するのか。

 署名簿を作成する場合には、まず署名簿の表紙を作成し、次に合併協議会設置請求書又は投票実施請求書(又はその写し)並びに(同一)請求代表者証明書又は投票実施請求代表者証明書(又はその写し)を綴り込まなければなりません。
また、署名の収集を他の選挙権を有する者に委任する場合には、署名簿に署名収集委任状(原本)を委任を受けた者の受け持つ署名簿に綴り込まなければなりません。
 そして、最後に実際に署名する署名用紙を綴り込むわけですが、施行規則の中の第3号様式にあるように、この署名用紙には@有効無効の印、A番号、B署名年月日、C住所、D生年月日、E氏名、F印、G代筆者の住所、H代筆者の生年月日、I代筆者の氏名、J代筆者の印、K備考の計12の欄を設けなければなりません。
 また、署名簿を2冊以上に分冊することもできます。この場合、市町村ごとに各署名簿に通ずる一連番号を表紙に付すとともに、分冊後の各署名簿にも表紙、合併協議会設置請求書又は投票実施請求書(又はその写し)、(同一)請求代表者証明書又は投票実施請求代表者証明書(又はその写し)等の必要書類を綴り込まなければなりません。署名用紙の番号欄には、分冊された署名簿ごとの一連番号ではなく、市町村ごとの一連番号を書くことになっています。

正式に役所へ提出しなければならない書類として次のものがあります。
1 請求代表者証明書交付申請書 (なんと様式が定められていない!ここがミソ)
2 合併協議会設置請求書 (第1号様式)
3 合併協議会設置請求署名収集委任届 (第5号様式)
4 署名簿 (第3号様式)
5 署名収集委任状 (第4号様式)

役所から交付されて、署名簿に添えて提出しなければならない書類として次のものがあります。
6 合併協議会設置請求代表者証明書 (第2号様式)
7 合併協議会設置請求署名審査録 (第6号様式)
8 合併協議会設置請求署名収集証明書(第7号様式)

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