藻谷浩介氏講演

2023/9/20 小鹿野町役場内にて (2003年、合併問題について小鹿野町での講演は→こちら)

「里山資本主義の時代へ これから起きる地方と都会の逆転」

藻谷浩介氏 もたにこうすけ氏
㈱日本総合研究所主席研究員 ㈱日本政策投資銀行地域企画部特任顧問 特定非営利活動法人Compus地域経営支援ネットワーク理事長

私は十国峠やブドウ峠を走った自転車オタクです。地理オタクでもあります。
合併問題後各地での講演としては20年呼ばれなかったが世が変わってきた。
地元の木材で造った木造の庁舎。合併が丁度よかったから、ここで講演ができたのですね。
大きな合併しても秩父市にはリーダーシップはなかったでしょう。
関東で2000年続いてる地は3か所。木更津、筑波、秩父です。
1000年後の人工物で残っているものは何でしょう?
田畑、寺社、水路でしょう。
高層ビルは残らない。石と違ってコンクリートは40年50年で建て替えしないといけないのです。
タワーマンションなんか買ってはいけません。
木なら悪いところを直しながら千年だって使えます。解体しても古材や薪としても消化でき無駄がない。

この10年で売り上げが伸びた産業は何でしょう?
小売りサービス業はマイナスです。昭和の頭のままだとこれが伸びていると思っている。
林業がトップです。世界的な木材不足です。SDGsの時代に木材の利用が再評価されています。

若者に聞けば小鹿野は何もないという。
googolMAPで小鹿野と渋谷を見て比べてください。
渋谷にはビルがあるだけです。
水はない。井戸もない。非常時に水がないのです。小鹿野はおいしい水がある。
渋谷では花火をしたくても家の前でも公園でもできない。
コンビニはどちらにもあるが売っているものは同じです。

googolMAPで日本と朝鮮、中国を見てください。
緑が濃いのが日本。朝鮮で薄くなり、中国ではかなり薄く、砂漠では緑が全くない。
ちなみにオーストラリアでは1000万人分の水しかないので地下深くから無理して汲んで賄っている。
小鹿野には宝が眠っています。
農業、林業、製造業が伸びている
日本の輸出はどうでしょうか?
減っていて大変だと思っている方が多数です。
あのバブル崩壊からもリーマンショックからも脱却しバブル期の2.5倍伸ばしているのです。
なぜ伸びていないと皆さんは思っているんですか?
輸出の事実は40兆円が99兆円へと伸びている。さらに外国に造られた工場での生産で100兆円。
ソニーの入江さんが講演で「経済をダメにしたのは誰だ!」と言っていましたが、
事実は30年前より伸びているのです。
皆が事実を勘違いしている。

ではどうして生活は楽にならないのかと問われる。
対貿易黒字なのは米17兆円、中3.2、韓2.8、ドイツ1.4。
輸出では今更ながら強いのが日本です。
赤字なのは中東や豪州の燃料や鉄鋼輸入が強く、これはしょうがない。
しかしイタリアにもスイスには対貿易で赤字です。なぜでしょうか?
この国の特徴は
①観光立国・手作りブランド。
②高い人件費・短い労働時間。
③大都市はない。農山村漁村に経済力がある。
④地産地消の本家。

スイスでは移民がウーバーイーツで働くと月40万円になる。
1万人単位の村がそれぞれ栄えることで大きな利益が直接その村に入る。
地産地消率100%なのです。
イタリアでは働きすぎることはない。なのに収入は大きい。
スイスやイタリアに勝つ認識を持てば小さな小鹿野町も飛躍できる
人口が増えているのはどこでしょうか?
政策一つでどんな山奥でも人口は増やせる。
流山市や丹波山村は増えている。

0歳から4歳のUP率も
シンガポール4% スイス1% 
流山市15%
丹波山村9%です。
どこが豊かなのか?貧しいのか?
生活できるかどうかは都市の大きさではない。

生活保護を受けずに暮らせる田舎が豊かなのです。
おそらく数字が見つからなかったが小鹿野は秩父市より良いと思います。
田舎であればこそ、政策で人口も出生率も豊かさも改善できる
二部は街づくり団体とのトークセッションでした。内容は割愛させていただきますが
「小さな町の末端で多くの団体が街づくりや健康づくりをしていることは町が元気だという事です」と藻谷さんにおほめ頂きました。

以上は聞き書きによるまとめなので正確な文言は保証できませんが要旨は汲めると思います。
なお、事実の数値を知ることから物事は考えないといけないと思いました。田舎こそ伸び率のある地域なのですね。

田島昭泉アーカイブ+α