21世紀の小鹿野の教育を考える町民会議

教育講演会

2006/12/17(日)
「子どもにとって学ぶチャンスの多い学校と地域の創造」
講師   前 三春町立美春小学校長 井田勝興(いだ まさおき)先生

昭和50年代後半から学校づくりの下準備に取りかかり
1984年から約10年かけて町内13校のうちの3分の2(8校)の学校づくりが完了し、
現在、第3期教育計画の策定に入っている。

オープンスペース、教師ステーション、生徒ラウンジ、
ワークスペース、幼・小・公民館複合コミュニティスクール、
教科センター方式
・・・などなど学校の新築、増改築などと共に
ソフト面の改革がなされている。

「私たち」と言う言葉が好きですね。私たちの学校、私たちの地域・・・ 退職後3年になりますが15年間も同じ町で教職に就いていたことは珍しいこと。神奈川県出身ですが、そのころから学校に対し“わだかまり”があった。こんな事で子供達が本当の価値を持てるのか?そんなわだかまりがあったから管理職になったのです。

市町村合併が進められました。昭和30年の合併では教育の効率化が進められた。画一化とも言える・・・。学校についての合併の話も出てきたが中規模がいい。13校が11校程度になった。地域は合併しても学校は統合せずに来た。
昭和50年代に学校は荒れてきた。8校を新しくした。小さな町が学校をつくることは大変なことだ。教育と行政とは対立するもの。地域に入って行き対話することが重要。
日本をリードする建築家10人に学校の教育のあり方を提示してもらった。全てがオープンスペースだった。親も先生も反対した。親は生徒が集中できないだろうと言い、先生も落ち着いて授業ができないだろうと言った。

建設計画当時は親たちは皆、オープンスペースを知らない。大人は不安ばかり大きくてイメージが湧かない。嫌だという先生も多かった。
昭和50年末頃は個性重視などと言っていたが学校が閉じていた。人も閉じていた時代。学校は避難場所程度のイメージしかなかったのが事実。
なぜオープンでないといけないかを語った。
教科教室型学校です。全ての教科が専門教室を持っている。生徒が全て移動。クラス教室はない。これによって人間関係が良くなった。いいところが見えて、へんてこりんなことにはこだわらないようになった。校則もありません。時間のチャイムも鳴りません。生徒が自発的に何をするのかと目的意識がでた。いじめなどという次元の低いことを生徒はやらない。
学校にはそれぞれのテーマが必要。ダムの村の学校は「水」がテーマ。水辺の音楽をテーマにした。山の上にある学校は星空と宇宙をテーマにした。

ハードという入れ物ではなくこうゆう子に育てたいというソフトに力を注いだ。PTA活動は学びを広げてくれる活動をしてくれた。学校の中味に積極的に参加してくれました。地域の人が入ってきてくれた。

子供の満足度とその調整。満足度が低いと言うことは何に対してか?これは価値観の問題だ。日本は本当にいいものを子供に与えていないのではないか? しっかりとした人生観と言う価値を持つと言うことが必要。現代は社会が価値葛藤をしなさ過ぎる。消費文化に対峙する力を持たないといけない。
やればできる。やれば空気が動くはず。
考え方を変えてみる。方法を変えてみる。大変重要なことだ。
みんなでやれば子供は伸びる。体育の先生もひとつのスポーツに専門であって他は素人。専門家の指導者に入ってもらえばいい。英語だって外人2人ぐらい入ってもらえばいい。

学校は5日間で何をする:色の付かない時間を沢山入れておく。課題選択型学習。
外的要因より内的要因で:教えるから学ぶへ。自主的な求め学習へ
金八先生はいらない:ティームティーチングでよい。
ピンチはチャンス

質問:合併と統合をどう思うか? お答え:小学校は地域にあった方がいい。中学校は専門的になり活動も活発になるので、それに添えるものが必要。
質問:先生、生徒、親との間に溝がある。 お答え:こうゆう子供に育てたいという大きな根っこ(共通の所)でしゃべり合う。言い合うことが必要です。
質問:立派な先生が移動すると元に戻る心配は? お答え:だからこそ良い教育課程と環境を構築する事が重要です。
質問:家庭教育で差が出てくると思うが? お答え:保護者には学習活動に入ってもらう。入学前で大きな差があるが良い教育で子供は自立する。
意見:満たされない子供が多くなってきている。地域も心を開いて頂きたい。学校を信用して先生を支えてもらいたい。

 講演の内容には大変感動しました。井田先生の静かな語りの中に大きな思いがにじみ出ていました。まず方法を変えてみる。親も先生も行政もマンネリで旧態然の考えしか浮かばない状況。ハードもソフトもまず変えてみることから始まる。小鹿野も町民教育会議がスタートし多くの声が寄せられています。さらには先生方との語らいも必要だと感じました。文化厚生常任委員会委員長とも是非視察し、多くの手法を学びたいと話しました。


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