中学校「7市町村合併に伴う作文募集」について

文化厚生常任委員会  平成16年(2004)1月14日  小鹿野町議会議員田島昭泉

発端は田島議員に届いた投書や相談です。一部を要約して紹介します。
三田川男性より
今冬休みに中学生に7市町村合併に伴う「市町村合併・中学生作文、提言、アイディアの募集について」が配布されました。
この募集は、いかにも7市町村が決まり将来について書いてくださいとのことです。私は、決まった後のことではしょうがない面もございますが、まだ決まっていないものを中学生に半強制的に書かせることは、いかがなものではありませんか。半強制ではないと言うでしょうが学校から配布されれば、書かないわけにはいかないでしょう、特に、7市町村に限り書くこと、書かないとお前は西秩父かとの差別化になること、この結果子供を秩父の道具と利用される(中学生には判らない:中学生には大人になって判断するものを今で強制してはいけないし、自由に書いて個人的に提言するのなら良いが)など、大人としてどうしてこういうことをするのでしょうか。町のリーダー、町の役人は現代の少年非行・犯罪など、子供を健全に育てる役目の大人がこのようなことをすること不振に思いますし、子供達も書くべきか書かないべきか悩んでいます。
このような行動をどう思いますか、半強制的ではひどいと思います。(法定協が出来ている限り、広報等での自由募集だとしょうがないと思いますが)

調査しました。
  1. ある中学校の中3男子に直接聞く:「2学期の内に授業中に書いて出した。」
  2. ある中学校の中1男子に電話で聞く:「冬休みの宿題です。出さないと成績にも影響しちゃうから、出さないと・・・」
  3. ある中学校の中1女子に直接聞く:(あえて質問しました)「募集だから出さなくてもいいんじゃないの?」→「出さなきゃいけないんです」
  4. ある中学生の父兄に直接聞く:先生が「7市町村に決まっているのだから市の名前を考えたら」と言った。父兄は「決まっていない。どうして決まっているのか?」と抗議した。
以上のように作文募集は事実のようです。

この件で1月5日には議員4名で教育長の所に行き、経過や状況を聞く。
「よく見ずに学校に出した」「よく見ると軽率だったかもしれないですね」とのこと。
文化厚生常任委員会に、その調査内容と感想を提出するように要請。

ここからが1/14の委員会です。
文化厚生常任委員会:高根登 田島昭泉 豊田有善 嶌田栄 
議長高橋正一    浅見俊一(欠席)
執行部:
助役高橋昌平  教育長山口豊  学校教育課長森沢
まず、どのような募集要項かをまず紹介します。
                                     平成15年12月16日
中 学 生 各 位
                                     小 鹿 野 町 長

市町村合併・中学生の作文、堤言、アイディアの募集について(お願い)
 中学生各位におかれましては、学期末を迎え勉強にスポーツに積極的に取り組まれていることと思います。
 ご存じのことと思いますが、少子高齢化、日常の生活圏の拡大、行財政等の構造改革などにより、全国的に市町村合併が進められています。秩父地域においても去る、10月1日をもって1市3町3村で秩父地域合併協議会が設置されました。
 市町村合併は将来を担う若い人たちの考えを反映し、20年30年先を見据えた協議が必要であります。
 そこで、将来町を背負い主役となる中学生の夢や、秩父地域の将来のまちづくりについて、ご意見をいただきたいと思います。
 つきましては、下記要領で中学生全員を対象に作文、提言、アイディアの募集を行います。学期末を迎え大変ご多忙のところと思いますが、是非積極的に参加いただくとともにご協力をお願いいたします。
                   記
市町村合併・中学生の作文、提言、アイディアの募集要領
1 趣 旨
 本年10月1日、秩父市、横瀬町、吉田町、小鹿野町、両神村、大滝村、荒川村の1市3町3村で、秩父地域合併協議会が設置されました。小鹿野町では、この新市のまちづくりに町民の多くの意見を反映させるため、将来の秩父地域のまちづくりの主役である中学生を対象に「未来の秩父地域」「私の描く新しいまち」などをテーマにした作文、提言、アイディアの募集を行います。
2 主 催       小 鹿 野 町
3 名称・規格    名称、規格は自由
4 対 象       小鹿野町の中学生全員
5 募集締め切り   平成16年1月15日(木)
6 作品の活用、発表  作文、提言、アイディア等は、新市のまちづくり計画に反映させるとともに、市町村合併の広報啓発の一環として、優秀なものは広報紙などで発表します。

教育長の調査提出文書
文化厚生常任委員会協議資料
     市町村合併に係る作文、提言、アイデア募集の件について
                             平成16年1月14日
1 町当局からの要請と対応
(1)町当局から、合併について中学生を対象に、市町村合併や将来の町づくりについての意見を把握するための作文募集について協力要請をされ、事例等も参考にし要請を受けた。                  
(2)各中学校長へ作文募集について町当局からの要請を伝え、了解を得る。
(3)町長からの校長宛依頼文書と生徒宛お願い文書募集要項等を各中学校に配付する。

2 学校の対応
(1)内容的に難しい課題であるが、教師の私見等はもとより、現在の議論等には一切触れず、生徒の現段階での認識をもとに、自由に記述できるように配慮した。
(2)原則的には冬季休業中の課題としたが、休業前に学校内で取り扱った例もある。
(3)提出については、強制的に扱わないこととした。

3 生徒の状況
(1)課題がかなり難しかったようで、難渋した生徒が多かったようである。
(2)合併についての賛否の意見を述べたものはごく少数で、現在または将来の町づくりについての子供らしい提言が大部分であった。  

4 担任の感想等  
(1)小鹿野町の将来や現状について考える機会となったようだ。特に、小鹿野町について、その良いところをよく認識していること、また、町に誇りをもっていることが感じられた。
(2)内容的にも、取扱上もかなり難しい問題であると感じたが、説明に際しては余計なことは言わないようにした。
(3) 余計な説明はしないまでも、生徒の発達段階により、どこまで説明してよいものか悩んだ。
(4)生徒の作文を確認している中で、小鹿野町の豊かな自然や文化を今後も失いたくないという感想が多くあり、郷土への愛着が感じられ嬉しかった。
(5)難しい課題だったようで、1年生は何を書いてよいか分からないようだった。学年が上がるにつれて関心の度合いも高くなっていることを知った。

5 (教育長の)感想
(1)現在の社会問題について、中学生もそれぞれの立場で考えることは必要なことであるが、合併問題は現状では中学生には難しいと思われる。しかしながら、生徒は生徒なりに、ものごとを公正に見ているようである。
(2)中学生に、郷土の豊かな自然や歌舞伎等の伝兢芸能を大事にしたいといった意識が育っていることは、今までの地域や学校等の取組の成果として嬉しく感じた。
(3)町づくりについて沢山の提言があったが、生徒の町づくりへの意識の芽生えとして尊重していきたいものである

委員会での質疑応答:聞き書きの要旨です。
質問・意見 答弁
文書はよく見て理解して出したのか? (教育長)趣旨は理解していた。一言一句ではないですが。
町からはどんな説明がされたか? (教育長)口頭で頼まれた。
「行財政等の構造改革」等の言葉は難しいが生徒は理解しているのか? (教育長)難しい内容だと思う。
では、その説明はしたのか? (教育長)余計な説明はしないと思う。
「思う」という様ないい加減なことではいけないんですよ。
先生は最小限の説明をしているのではないか? (教育長)調べていません。
事実、合併が決まったようなことを言った先生もいるし、強制的な作文としてもとらえているんです。調査するように。
教職員への合併問題についての説明はしたのか? (教育長)しておりません。
教育の場への政治問題。重い問題だとは思わないか? (教育長)議論盛んな時。教育委員会が主催しては論外だが、全国的にも「子供議会」や「12歳以上の住民投票」もあったので可能かと思った。
(助役)法定協ができた。町づくり懇談会などもしてきた。若者や中学生にも幅広く聞きたい。募集であって、強制的ではない。
なんら問題ない。
ではなぜ広報での公募としなかったのか? (助役)広報でも募集しているが特に若者や中学生に聞きたかった。
こと合併については小鹿野はシビアな問題なのです。大人だって名前を上げてどっちだとは言えない状態だと言うことはご存じのはず。
強制ではないと言うが、冬休みの宿題や2学期の授業で出してもいるんですよ。
親は自分の子がどう書いたかを心配しているんです。どのように利用するのか?
(助役)若者や中学生にも素直に意見を聞くことが大切だった。まとめて、しっかりした冊子にして保存したい。
文章は小鹿野町長となっているが教育長は連名にしなかったのか? (教育長)教育長名が入らなくて良かった。入るべきではない。
かつて町長名だけで学校から生徒に出された要請はあるのか? (教育長)知っている限りはありません。
生徒は公正に見ていると言うが、教育長はこの募集は公正だと思うか? (教育長)絶対公正だったとは判断がつきません。
7市町村に決まったことのように扱われるとは思わなかったか? (教育長)危惧はあった。公正かは自信がない。判断はつかなかったがやることは可能だろうと・・・
無責任だとは思わないか? (助役)○○さんの勝手な判断です。
合併は決まったことなのか? (教育長)決まってはいません。
(助役)議会で今後議決されないと決まりません。
作文は集まったのか? (教育長)すでに集まった物は提出しました。
愕然とした。15日が締め切りなので集まってから、これから町への提出かと思った。
作文は提出した物を差し戻し、提出するかどうか、氏名を消すとか、教育委員会の砦から出すことについては再考を今からでもできないのか?
(教育長)私の方では流れの中なので、処分することはできません。
小鹿野の状況、合併問題を理解していれば受けなかったはずだが? (教育長)責任を逃れるつもりはありません。
説明や内容によっては良い現実の社会の勉強になったはずだが、この様な状況の中で説明もせず、まして偏った合併の作文になったのは非常に残念です。
継続で調査してもらいたい。
この問題は継続となりました。

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1月19日(月)  正副委員長2名で中学校「7市町村合併作文募集」について学校長の状況調査


2月6日(金)1:30〜 文化厚生常任委員会「中学生合併作文」について

文化厚生常任委員会:高根登 田島昭泉 豊田有善 嶌田栄 浅見俊一 議長高橋正一    
執行部:
教育長山口豊  学校教育課長森沢  

質疑 教育長答弁
現場では苦労して配布したようだ。どう思うのか?(田島) 違法性がつかめれば出さなかった
現場が心配するようなことは?(豊田) 無いとは言えない。先入観を与えないようにしたようだ。
作文は手元にあるのですね?(浅見) はい、しかし一度は出した物がある。集まった物はすぐ出すのが私の習性なので・・・
政治的な色は感じなかったのか?(根) どう影響するかより、子供の夢を聞くことが大切ではないかと。
はっきり7市町村合併がいいとか、西秩父が良いとか書いている子もある。
難しくて書けませんという作文もあった。
作文は手元にある。
その事を生徒達の心配している家庭に文章などで知らせる必要がある(田島)
田島さんに言ってきたその方にならしても良いです。
出すなら全員でしょう(高橋議長) 政治的な流れから説明しないといけないので、むずかしい。
では次の会議までに文章をどうするか、保管作文をどうするのかをうかがうことにします。(根委員長) (以上は90分の内容を要約しました)〜3:00


情報(メールや電話)やご意見が届いています。以下、匿名で紹介記載します。


確かに俺らのクラスに説明しに来た先生は、強制だと言ってました。みんなが、やりたくなくて「強制じゃないんでしょ?」と聞くと、「強制だよ」と言いました。どのクラスもその先生が説明していたらしいので、他の生徒たちも強制だと思っていました。俺も、○○君から聞かなければ強制だと思ったまま、出したと思います。 1/15





●まずは募集された全作文を原文で読みたいもの。
●教師の判断には保留・拒否はなかったのでしょうね。きっと。
●同様の募集を西秩父の側で実施を要請すべきかも。
●結果はどうあれ、合併までの経緯を詳細記録すべき。誰がどう語り動き何をしたか……。
●これはしかしどの「カリキュラム」での課題なんだろう。社会かはたまた道徳とかなも。
●しかしひどい募集要項。だれが書いたかしらんが、これでは中学生の感性なら「権威」の塊としか思えない。
●勇み足の怖さ や軽率のツケこそ教職+公務では在ってはならないもの。  1/15
鹿






無理矢理に「合併についての意見」と解釈できなくもないですが、日本語文法的に見て、確かに仰せの通り、合併が決まったかのように見受けられますね。
私が中学生としての立場なら、先方の融通を通すのは永劫の太古から現代に至るまで特に変わりのない事ですし、「おそらく、合併賛成派の回し者だろう」「議会では、合併する方向に傾いているのだろう」等と判断を下し、何ら疑問を抱かずに取り組むでしょう。
反省及び今後としては、
学校としても、完全に疑問を持たなかったのでもないようです。
生徒としては課題が配られた以上、強制の有無に関らず出すべきだという心理がはたらきます。
学校側はそれを考慮して、各クラスに一枚ずつ程度、目立たない場所に提示しておくか、もしくは誰も聞いていないであろう朝礼時の校長先生の長話の際にその事に関して生徒に話をするなど。
あるいは、触らぬ神に祟りなしではなくて、お節介ですが、生徒の配布する資料に手を加えるのが妥当かと思われます。
それならば、これが問題になる事もなかったでしょうし、今ここで私がPCモニターと向かっている事もないでしょうから、云々誰も訂正した事に気付かないでしょう。生徒分約300枚を刷るのは学校の仕事ですから。
それに、難しい内容だと思っていたのなら、尚更説明は必要だった筈です。生徒の認識はともかくとして
もし、誤った認識があれば、それを助長する事になります。
教育長の対応としても、上記のように、学校が手を加えなくてはならない事になってしまわないように配慮すべきだったのです。
私が学校側の対応として挙げた云々はむしろ教育長の仕事です。
いずれにせよ、学校、教育長、双方とも契約内容を読まずに、契約書にサインをしたのですから。
ですから、今後、このような事がないように反省委員会を一時的に設置し、それぞれの対応、及び役割をしっかりと認識しておくべきでしょう。
  1/15
役場の職員さんのお子さんは大丈夫ですかね?心配です。1/15




役場も変な作文公募などしたものですね。
西秩父か7町村か合併のあり方はともかく、子供を出汁に使うとは。
「最近の子供たちは愛郷心がない」とある政治家が嘆き、教育基本法を改正しろ!と息巻いていましたが、
その子供たちを利用する大人のことが、子供の側にもう見透かされ居るようで、ナサケナイですね。1/16



意見を把握するために・・・とありますが、子供は必ず親に意見を聞くはずです。それを見越しての情報収集に他ありません。
提出は強制的ではないとしても学校からの依頼では、点数や成績に響くと思うのが当然である。
このような事を、「町村合併という経緯」の説明も無く、あたかも7市町村合併が行われる事のように洗脳し、親たちにも子供を通じて規制事実として認識させる行為である。
このような行為は、行政の長と言えども、するべき事でなく、まして教育長が許可すべき物ではない。
あえて言えば、教育長の責任問題として追及するべきであると思います。1/16

中学校に合併についての作文を書かされたと子供が話してました。なぜ中学生に作文を書かせたのでしょうか?また合併について生徒達に総合の時間などで調べ学習、または意見交換、三町村派と、郡市派の説明などがあったのでしょうか?疑問が在ります。中学校で書いた作文の報告はもう出たのでしょうか?中学校の保護者にまとめを配る予定はあるのでしょうか。? 1/18

その後
3月議会3月8,9日、「合併問題作文問題について」の一般質問を3名の議員がしました。
 この時の教育長答弁では「卒業式の前に作文について、どうなっているのかを生徒に報告したい」旨の教育長の言葉でした。しかるに、15日、学校長に口頭で全校生徒に伝えてもらうと言うことになったことがわかりました。口頭では父兄には伝わらないし、また曖昧になってしまうので、教育長の所へ議員3名で行きました。生徒と家族が心配し、不満を持っているのだから、文書で全員に伝わるようにと要求しました。結果として、そのお知らせも卒業式に間に合って全生徒に配布され、各家庭には届いたことと思います。また、作文は名前が切り離されて教育委員会の手元に保管されているとのことです。今後、どのようなことがあっても、教育の分野で片寄った政治運動のダシに児童生徒が使われることのない様に注意していただきたいものです。

以下に教育長の文を掲載します。

平成16年3月15日
保 護 者  各位
小鹿野町教育委員会教育長
市町村合併に係る作文等の募集について
 平素保護者の皆様には、小鹿野町の学校教育の推進につきまして、特段の御理解と御支援をいただいておりますことに心より感謝申し上げます。
 さて、去る2学期末に標記の作文の募集を各中学校をとおしてお願しましたところ、たくさんの中学生の応募をいただきました。将来の小鹿野町のあり方への若者らしい多様な提言等をいただきました。また、地域の自然や伝統文化に対する誇りや、今後も、これらを大事にしていきたいといった気持が文面からうかがえ心強く感じました。
 ところで、募集に際しまして当方の配慮が不十分で、関係の皆様に御心配をおかけしましたことをお詫び申し上げますとともに、応募作文につきましては、現在教育委員会で保管し、個人情報の保護に配慮しておりますことを申し添えます。