「非行防止セミナー」に参加して 田島昭泉
平成15年6月15日に熊谷会館ホールにて埼玉県教育委員会主催の「非行防止セミナー」が行われました。それに参加しましたので要約しご報告致します。
第1部 県警本部少年課主席専門官:湯谷優氏「少年非行と少年の非行について」講演
ここ数年の特徴から分析
1 ひったくり、路上強盗が増加。この7割が少年。
動機は遊ぶ金と先輩の命令
6〜7割が再非行する。←地域のつながりが無くなってきた。
比較的近所でする。
↑ 道徳以前に隣近所のつながりが希薄
2 凶悪、粗暴化。(高校生隣地、ホームレス殺人)
一歩間違うと死に至る様な事件が管内で毎日の様にある。
@自分の存在価値が認められない。→おもしろくない気分が蓄積
A本人も強い恐怖心を持っている。→上の者や暴力団の押さえつけ
対等な横並びの関係が出来ていない
人とのつきあい方、あり方を学んでいない。
↑
保護者に共通点:一方的養育態度。反応を見ない。意見を聞かない。
★子供は一方的な人間関係を身につけてしまう。気を遣わない人間関係
B3人以上の集団で凄惨な事件を起こす。本当のリーダーが居ない。
いつも突っ張っていないといけない。→エスカレートする。
C家庭のほとんどが放任している。
先生がぶつかっている間は歯止めになる。
相手にしなくなると歯止めの無い生活になる。
D「以前にそんな悪いことはしていない」は間違い。
「いきなり」ではない。目立たないだけでしている事実。
大人の怠慢:注意が足りない。
3 女子の性的逸脱化。(携帯電話、援助交際、プチ家出)
@家出も遠くなった。(北海道、九州)
A相手の年齢も関係ない(40代50代)
B共通の外観 以前は暗い子→今は明るい子や乗りの良い子が多い。
C危機感欠如 (アメリカで同じ事をすれば殺される様なことをしている。)
知らない人、場所に不安を持たない。 ← 家族の絆が無い。
4 家庭と学校の絆が切れている。その影響力も薄れている。
☆近所・親・先生の3つが一緒になること。
子供にどれもがつながっていることが重要だ。
第2部 パネルディスカッション「非行防止と健全育成の取り組み」
○○市立○○中学校校長
近くのグランドに20歳までの卒業生が良く来る。たばこを吸ったり、騒いだりする。しかし付き合っている内に話が通じてきた。ルールを守る様になってきた。
「私だっていいとこあるよね、頑張ってるよね?(女生徒)」認め合う人間関係が大切。
タバコも酒もほとんどが小学校で経験。生徒の45%が携帯電話を持っているが、非行している子は100%持っている。
タバコは教員も吸わない方針。
生徒の目に入らない遠い場所に喫煙室を設置した。いずれ校内全面禁煙にしたい。
○○市立○○中学校PTA会長
「朝の挨拶運動」みんなでみんなの子を見守る。上下の子を肌で感じて欲しい。
小学校では「おやじの会」で学校のペンキ塗りや蛍光灯交換、遊びや園芸の先生になる。
「地域を知ろうウオークラリー」250名以上が参加。クイズやお話で地域を知る。
大人は「会社人ではなく地域人になろう」と呼びかけている。
呼ぶことがあっても出てこない先生。先生が地域に入ってもらいたい。
○○高等学校校長
非行としては、喫煙。暴力。カンニング。窃盗・万引き、いじめなどがある。人間関係が出来ていない。地域の人に支えてもらうことが重要。携帯電話に月6万も掛けると遅くまでアルバイトをして朝に学校に来れなくなる。家庭の問題「私のことを少しもわかっていない(女子)」。良いところを見つけて欲しい。励まして欲しい。
○○市教育委員会参事兼学校教育課長
昨年11月の事件は大きな課題となった。@学校として一人一人を把握していたかと問い直す。その子の背景もふまえて、共に悩み分かってあげる。 A地域で子供を見つめよう。 B本当に子供の心を耕してきたか?問い直す。(価値観・思いやり)道徳教育を家庭にもつなげていこう。
県総務部青少年課神祖副課長
@非行根絶を図る。13〜18年度強化。 A青少年相談センター14年7月に開設。今年は面接も始める。B喫煙ストップ運動:タバコは非行の入り口である。 Cパトロール運動:タバコや深夜徘徊のパトロール。情報(たまり場・事件)の連絡網強化。
県警本部生活安全部少年課佐野係長
平成14年度は6863人の検挙。県では2番目の記録だ。路上ひったくり、自転車・バイク盗難も多く、1550人。
家庭・地域・学校の連携が弱くなっている。親の意識が弱い。
※学校名は匿名とさせて頂きました。
以上報告と致します。