農薬について考察2021

沈黙の春+複合汚染+報道特集TBS

 生物研究家で生物ジャーナリストのレイチェル・カーソンが1962年(昭和37年)に発表した「沈黙の春」を衝撃を以て読んだ人も多いはずだ。危険極まりない除草剤と殺虫剤の発明と、その無謀な使用によるアメリカ等での各地で起こった生物絶滅の告発だ。
 「複合汚染」は作家有吉佐和子が1975年(昭和50年)に、この上巻を発表した。大いに「沈黙の春」に刺激されたもので、日本各地で起こる環境問題と疾病の現状をつぶさに取材し考察する著書だ。この本の帯には「複合汚染の結果は50年先になるという。それまで待っていたのでは全てが手遅れになる。」と強い意志で危険性を訴える作品だ。
 シラミ退治にDDTが使われ、更に強いクロールデン、更に似たヘプタクロール。更に毒性が50倍も強いディルドリン、300倍強いアルドリン、エンドリン。アメリカでの使い方は、たった一種類の虫退治のために使われ、全てのミミズや虫や鳥や魚を殺すことになった。川にしみこんだ20億分の1の濃度でエビ類は全滅した。キクイムシだけを殺すつもりがコマツムギ等の鳥が全滅した。マメコガネを退治しようとしてヒバリもウサギもリスも駆逐してしまった。
 自然界では分解されるとしてきた農薬は実験室には無い土中の金属元素と化合し毒性は更に強くなって維持されることも後で解ってきた。知らぬうちに収穫される穀物や野菜にはDDT等の残留物があり、最後は人の体内、特に副腎、睾丸、甲状腺などに蓄積されてきた。マラソン、パラチオン等の有機エステルリン酸系の殺虫剤も開発され毒性は更に強化された。人の神経系に大きな影響を及ぼす事が解ってきた。
 「複合汚染」で言う50年後はもう少し先の2025年だが、日本人がガンでの死亡率が高く、発達障害や自閉症の割合が欧州の値を大きく越えているのは、除草剤や殺虫剤などの利用に対しての規制が比較するとあまりにも緩い事に由縁があるのでは無いか。
 2021年11月のTBSの報道特集ではネオニコチノイド系農薬の影響を検証していた。これに依れば神経毒性・浸透性・残効性の強い農薬が1993年に日本で導入されはじめ、宍道湖での検証ではトンボなどの昆虫やワカサギやウナギ等の魚、エビやカニ等の甲殻類、シジミ貝類が絶滅に近いほどの激減を迎えた。日本中でのミツバチの突然死も無関係では無い。 人への影響を研究した医学博士が木村-黒田論文として発表。農地単位面積当たりの農薬使用量の国別の数値と自閉症や発達障害の人口当たりの割合が合致することを提示した。日本は欧州などに比較し5倍も6倍も自閉症が多い。報告では大きくラットの実験でも大いに神経系に影響することが解った。食品に残留したネオニコは人体内に蓄積され、子孫の神経系を狂わす危険性が大きいのだ。
 60年も前からカーソンが訴え45年前にも有吉佐和子が訴えても、企業は危険性が問われると手を変え品を変え規制を逃れながら毒を作ってきたのだ。どれも安心なものなど無い。疑わしきは使わないというのが欧州の考え方で規制しているのに、日本は無頓着だ。 日本の中でもトキの保存のために無農薬無化学肥料を実践した佐渡の農家達が居る。田んぼの生き物を増やし、トキの成長に成功している。勿論お米も立派な収穫ができている。 埼玉でも千葉でも全国に無農薬無化学肥料の農家の輪が広がっている。収穫は立派にできているのだ。いつから虫を悲劇的に恐れるようになって農薬を使うようになったのか。消費者が選べば安全なお米も野菜も手に入る。私たちは少しぐらいの虫食いの野菜をむしろ安全だと選択する時代にしなくてはいけない。これは未来の命のためだ。

決断から実現まではご苦労の連続だったと思いますが、佐渡では無農薬米が実現できた。

さっそく田島昭泉もお取り寄せしました。農薬・化学肥料の欄に「使っていません」の潔い言葉。うれしい限りです。

日本不耕起栽培普及会

さらに埼玉県では無農薬無化学肥料でお米をつくっている方が居ました。2021/12/5埼玉新聞

上原さんは日本不耕起栽培普及会会長さんです。無農薬・無化学肥料で更に不耕起です。
上原農園のお米は杉戸町のふるさと納税の返礼品にもなるほどの人気でした。

上原農場さんの田んぼの様子がHPで紹介されていました。
生き物(蛙やドジョウやオケラなど)が多いのでしょう。白鷺やアオサギがご覧の通り・・・


ネオニコチノイド

2021年5月2日東京新聞記事

 日本は御覧のように2015年には農薬の残留基準を引き上げています。
ほうれん草がEUでは0.01ppmなのに日本は300倍の3ppm!
ヨーロッパとは真逆で、全てで10倍から100倍以上へとゆるく変更しました。
日本人が特に農薬に強いわけではありませんよね・・・


国の有機農業への取り組みも乏しく欧州では10%程度なのに日本は0.2%です。50倍の違い


2017年に日本は基準引き上げ。除草剤 (グリホサート)の利用もEUと比較すると残留基準が300倍以上のものまである 。
この後、上の資料にある「人への影響を研究した医学博士が木村-黒田論文」が発表されるとEUでは不使用など厳しい規制をしたが、日本は未だそのままだ。


2018年

小鹿野町議会ではネオニコチノイドの規制を求める請願が通り、国に意見書が提出されました。

〇生態系への影響が指摘されているネオニコチノイド系農薬の規制を求める意見書の提出を求める請願
請願者 秩父市高野伸代 代表 みつばちがつなぐ命を考える会  
紹介議員 髙橋謙治 
請願審査 9月定例会で閉会中の継続審査となった本請願は10月5日開催の文化厚生常任委員会において審査した結果「採択すべきもの」と決定し、12月定例会3日目(6日)において委員長が審査結果を報告しました。審議の結果。委員長の報告のとおり全会一致で採択され、次の意見書を内閣総理大臣ほか関係行政庁に提出しました。
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生態系への影響が指摘されているネオニコチノイド系農薬の規制を求める意見書

 1990年代から世界各地でミツバチの大量死・大量失踪、さらには「蜂群崩壊症候群(CCD)」が報告されています。我が国でも2005年頃から大量にミツバチ被害が発生し、ミツバチの大量死が問題となっています。
 2000年代に入ってからは、ネオニコチノイド系農薬がミツバチ被害の原因であるとの様々な研究結果が発表されたことなどを理由に、使用規制の動きが広まり、フランスをはじめとするEU諸国では、予防原則を適用し、ネオニコチノイド系農薬の一時使用禁止などの対策が講じられています。
 ネオニコチノイド系農薬の特徴は、①浸透移行性②残効性③神経毒性です。浸透移行性があるため、根から吸収された農薬は植物内部に取り込まれて葉、茎、花、果実にまで行き渡り、殺虫効果が持続します。
農薬が植物内に深く浸透するので、洗っても落とすことができません。また残効性が高く、散布回数が減らせるため、減農薬栽培に多用されているのが実情です。
 現在、ネオニコチノイド系農薬は農業用途のみならず、家庭用殺虫剤など様々な用途に広く使用され、国内出荷量は年々増加傾向にあり、最近10年間で約3倍に増えています。
 ネオニコチノイド系農薬はミツバチに限らず、自然界に存在するハチ以外の昆虫・動物など、生態系へ重大な悪影響を及ぼす恐れがあります。
 また、人体への健康被害、特に胎児・子どもの発達への影響が懸念されています。
 しかしながら、生態系への影響や人体への健康被害の懸念があるにもかかわらず、わが国ではこれまでのところ使用規制はいっさい行われておらず、食品中の残留農薬基準値も米国の数倍、EUの数十倍から数百倍と、きわめて緩く設定されているのが現状です。
 ネオニコチノイド系農薬そのものに対して何らかの規制を行わない限り、その危機を除去することはできないはずです。
 そこで我が国においても、予防原則に立ってネオニコチノイド系農薬に対する規制を行うよう強く求めます。

1  ミツバチの大量死に関して、原因究明のための徹底した調査およびネオニコチノイド系農薬による影響に関する調査を更に行うこと。
2 ネオニコチノイド系農薬の生態系や人の健康に与える影響についての調査を行うこと。
3 ネオニコチノイド系農薬の規制、および食品への残留農薬基準を見直し、強化を進めること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。
 
  平成30年12月6日
埼玉県秩父郡小鹿野町議会 

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