合併シンポジウム2003

秩父の未来を考える「秩父100年の計」


パネラー左より
小泉龍司衆議院議員、関口昌一県議、北堀篤県議
   栗原稔秩父市長、加藤嘉郎横瀬町長、藤田浩次JC理事長
小泉龍司氏基調講演

1.市町村合併は国の政策 大きな方針  構造政策の一環  まさにおしつけられる市町村
   総務省:地方分権の流れである   財務省:地方行財政改革の流れ
 アメとムチの政策がはっきり打ち出される アメ:合併特例債  ムチ:三位一体の財政政策:税移譲になると人口に見合ったものしか上がらない。
2.国の行財政改革   戦後の社会を質的に変えていく
   戦後社会のめざしたもの  1.低い税負担  2.高い福祉  3.均衡ある発展
         (日本の税負担率 37% ヨーロッパ諸国は50%以上)福祉のヨーロッパを目指す。
   戦後の政策を支え根幹になったもの   1.地方制度  2.税制(シャープ税制)  3.公共事業  4.経済規制
3.債務700兆円   地方に手厚い政策は行き止まりにきた  + 小泉総理は都市にいい顔をしたい (都市型総理の面が強い)
   小泉総理のゴーサイン  1.補助金の削減  2.地方の合理化(合併3000から1000位に)  3.国への依存を断ち切る政策
4.構造改革   700兆円の債務  高齢社会 国際化社会 このままいくと日本は沈没。「苦しいけれどしばらくの間、頑張ってくれ」
5.構造改革への疑問  本当に国全体でとことん話し合っているか。都市型総理は都市に目を向けた政策か或いは民主党対策か。 
       アメリカ型社会に向かう、フォート(要塞)都市400のアメリカ社会に我々の覚悟において受けて立つしかない。
6.公平な社会を守りたい (構造改革は)日本の社会の大きい礎となる。交付税の計算方式は変えない(骨太の改革)。

         パネルディスカッション
小泉氏

合併してひとつになったら、うちの方にも同じものが欲しい、とひっぱりっこになることもあるでしょう。
合併しないでも基準財政収入額に足りない分は交付税保証はあるが、10あるうち7しか認めないといったこともあるかもしれません。
中国で実際に2万人規模で住民を密集して住まわせた町がうまく動いている。ただ効率だけでなく、公平さも大切。
北堀氏
自己責任での合併。住民投票条例を制定して結論をだす。
9市町村のことを語るには注意しろと言われているが本音で語りたい。
私が市議だったとき市議26人中、高篠には4人。下水や側溝、ガードレール一本つくるのに大変だった。
人口の多い市部は変わらないだろうが、町村の過疎化は拍車が掛かるだろう。かゆいところに手が届かなくなることもある。
市道408qが合併で1700qになる。やって行けるのか疑問だ。国保や水道など、いろんな数字の問題もある。
市町村組合にシフトして考える方法もあるのではないか。自主自助にも限りがある。ワークシェアリングして行く。
9市町村でも限りがある。県庁の県中央への移転なども視野。
関口氏
段階的合併もありうる。合併がベストとは言えない。社会的合併も
今までは財政のみの論議だが、少子高齢化がある。合併に向かわないといけない。
少子化対策、いかに多くの人が住んでくれるかの課題がある。
栗原氏
1市53村を一つにして本当の秩父の力を出す。山間地域含めスクラムを組んで、都市に対抗:国の投げた合併を受けて立つ。
謙虚に対等にゴールを目指す。
県秩父土木関係の予算は平成5年度に比べ140億円も減っている。国の特区構想が秩父にはない 
1市5町3村、大同にたつ。市内の30社を歩いた。すばらしい企業がある。
教育の合併をして次の世代を育てたい。今の秩父市では狭い。
加藤氏
貧富両極端に分かれるようなアメリカ型社会になるのは心配。
合併問題は郡部町村は、秩父市の態度が一番関係する
横瀬町は、来年度3億円足りない 交付税が減るから 3億円の減収は大変
起債(借金)額は、13年度1人当たり横瀬29万円、荒川28万円、秩父市47万円
合併特例債 30%(負担分)は注意しなければならない。
3億円の減収(来年度)をどうしたらよいか
   人件費はラスパイ秩父市100に対し横瀬95 簡単にカット出来ない
   42割カットで1000万円   物件費1割カットで3000万円
   補助金カットで1500万円   建設費カット60007000万円  これら合わせて23000万円。
バブル崩壊後 厳しさを受け入れなかった市町村は努力が足りなかった。
合併問題で心気一転の気持ちで(行財政運営を)考えるのは同感しかし、いざ合併となり、ただただ大きなものになっていく大型合併・・・出来得れば、小さいものに目を向けていく姿勢がほしい。どこまで歩調が合わせてくれるか。
50年後、秩父郡市が「点在して暮らしていけるか。」新しい都市をどう建設したらよいか。
丹波篠山も合併に成功した町だとのこと。しかし、70人の役場が9人の支所になった現実。
小鹿野町では保健師が8人いる。秩父市では7人。人口割合では数値の大きさが解る。まちづくりに努力しているとこもある。大きくとも細かい所に配慮ができるか
藤田氏
若者にも論じる場を。
100年後は想像がつかない。15年は赤字にならないので、その間に良い方策を考えて欲しい。
町村部のことはNPOやJCで仲立ちをして市に提言が出来ないか考えて行く。
質疑応答
地域審議会設置は? 小泉氏:これだけでは不十分かもしれない。
9市町村に決議機関を置いても良いですよともいっている。コミュニティを壊したくない。
県は4年前に財政支援要綱を出したが? 関口氏:財政支援約束したい。
北堀氏:合併することに対しては県は全力でバックアップする。
広報の次の広聴をどうするのか? 加藤氏:任意協では8月に意識調査をやる。それが手始め。
桃源郷をつくれ 栗原氏:12万人の源郷をつくりたい。
日本とフランスの人口と自治体数は? 小泉氏:文化の違いもあるので当てはまるかどうか・・・調査します。 →情報
民主主義は守れるのか?
自治体が少なくなると崩壊する。
小泉氏:その通りです。ただしコストの問題がある。
この日本で耐える大きさがある。また、大きくなれば国に対して発言力がでる。
貧乏同士結婚して大臣になれるか? 回答者なし
東京の80%の酸素
水も綺麗にして流している。
他の自治体からも財源を持ってきて欲しい。
小泉氏:その通りです。国に伝えたい。
交付税の間違いは国の失敗だ! 小泉氏:内閣は歳費1割カットとしているが、我々も2〜3割りしたい。努力する。
特例債の財源は何か?
ますます首を絞める合併をするのか
国債を外国に売れば?
小泉氏:赤字国債でまかなう。
     将来は施設等もひとつで良くなり削減できる。
     95%が国民が買う。売れなくなって暴落を見極めないといけない。
700兆の借金は大きい。自民党は引き取るべきだ。
公共投資毎年50兆の日米構造協議は変えるべきだ。
小泉氏:協議期間は終わっている。今は失業者も6%にとどまっている。10年630兆の恩恵は受けている。
GNDの半分の200〜300兆か。コントロールできる数字が大切。債務超過ではない。資産がある。
田島昭泉議会報告
◇小泉衆議院議員は誠実さで答えた。末端の国民の心を伝えてくれると思う。◇関口県議には少子高齢化に対してもっと聞きたかった。◇北堀県議は本音で語った。さらにはしっかり導いて欲しい。◇栗原市長はリーダー的存在。◇加藤横瀬町長は現実の3億円に対してどのような削減で対応できるかの数字を出した。自立の模索検討には頼もしさを感じられた。
日本の総資産2000兆円とも言われ、この数字ならまだ大丈夫だろうが、そのいかんでは日本はとうに破綻していることになる。
この3年間で交付税は減らしているが臨時財政対策債を入れると増やしている状況。
まして、特例債も、満額つかっても大丈夫との大臣の言葉。
どこまでほんとかどこが間違っているのか。そして政府や高官の思惑はどこか?
小鹿野町長も、大合併派の議員も、その思惑は謎だ。
役職を離れ言葉を発するなら「このままほんとの地獄を見ろ!」だ。日本はほんとのどん底を見なければ変わらない国家・国民性だ。
本当の瀬戸際に立たないと方向は変えられないのが今の日本文化だ。飢え死にもない日本で本当の生きるか死ぬかの選択は無い。
合わせて言えば「国やどん欲な政治家の綺麗な言葉に振り回されてはいけない」
教育や道徳というものの崩壊を感じる。

資料

朝日新聞のコラムを要約しますので参照してください。欧米の自治体がすでに日本の自治体よりもかなり小さく、さらに分権化する動きもあるようです。
自治体を小さくしよう


  日本の自治体数が約3千なのに対して、
  米国の自治体は3万6千ある。しかも70年代以降増加の一途。米自治体の半数が人口千人以下で、人口2けたの村も3千以上ある(02年米政府センサス)(人口は2億4871万人)

 フランスの自治体数も3万6千で、200年以上前のフランス革命当時とあまり変わっていない。(人口は5663万人)(議長が首長をかねる)
イタリアの自治体数は約8千

 イギリスでは482のディストリクトと呼ばれる広域自治体への統合が進んだが、1万以上のパリッシュという基礎自治体を権限強化する動きがある。(人口5635万人)

 ドイツは州によってばらばらながら、計1万6千の自治体がある(以上、96年EU広域委員会資料)。(人口は8200万人

 こんな小自治体で成り立つのか、と問われても、実際に成り立ち存在しているのだから仕方がない。自治体は小さければ小さいなりにNPOやボランティア活動と連携したり住民発意のイノベーティブな街づくりを進める。そのためには、市民が発言する住民集会型の市議会(米国)など、行政のあり方も根本的に変わる。必要があれば自治体同士、柔軟に連携して広域行政サービスを組む。

 要するに自治体自体の主体性と活力がカギとなっているようだ。大きければいい、という時代は企業でも自治体でも終った。 (06/18)