記事参照
(2003)平成15年7月1日の埼玉新聞に合併では地方自治が遠ざかる論説が出ました。要約しました。
「合併でも地方自治は進まず」というタイトルで元日本政策投資銀審議役の大岡哲さんが論説しています。
「わが国の地方自治体の規模は、欧米に比べて何倍も大きい。欧米では日本より小さな自治体で立派に地方自治を確立している。この行政改革の時代、もっと市町村の財政規模を拡大せよと考えている住民がどれだけいるだろうか。問われているのは、われわれ自身の自治体をもっとよくしようという問題。とすれば、行政単位を大きくすることと、行政自体がよくなることはあまり関係がない。大きくなればなるほど、逆に地方自治、住民自治は遠ざかる。きめ細かい対応は不可能だ。もちろん、大きくなれば安上がりという行政サービスもある。こうした場合には広域の自治体の共同事業として行えばいいだけの話。
また総務省は「生活圏の広域化への対応」と言うが、言い始めれば、東京都の二十三区なんて全く必要ない。東京、横浜、大阪など大都市近辺ではみんな合併しなければいけない。おかしな議論である。
さらに総務省は「非効率的な行政運営や隣接市町村での類似施設の建設には批判がある」と言う。しかし、市町村の行政区域が大きくなれば、今度は合併後の新しい市町村が施設整備競争をやる可能性が大きい。今度はもっと大きな無駄が行われるだろう。
相変わらず大きな行政を前提とした議論を中央から下達せしめようとする。そのこと自体、地方自治の精神に反する。市町村合併は地方分権の推進という美名でお化粧しているが、その下には中央集権という地顔が見え隠れする。」