秩父市の2学期制問題

報道
2006年2月21日(火)埼玉新聞によれば
 秩父市教育委員会が四月から全中学校で、2007年度から全小学校で、二学期制を導入する方針を示している問題で、市内の小中学校の保護者有志が20日、市教委に対して「二学期制の拙速な導入をやめる」ことを求める署名6339人分を提出されたとのこと。
 二学期制は日本の気候風土に合っていない、テスト範囲が広くなり生徒の学習意欲が持続しないとして、見直しを求める意見が保護者から出ている。また、「二学期制を強引に導入するやり方が問題で、保護者や生徒の意見を聞いてほしい」と話しているそうで、市教委は今月中旬、中学生や保護者を対象にアンケートを実施。この結果も参考にして、21日の定例教育委員会で二学期制について話し合う予定とのことです。
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2006年2月22日(水)埼玉新聞によれば
 秩父市の金子武男教育長は21日、教育委員会の定例会で、2006年度から市内の中学校全校で二学期制を導入する計画について、賛成する保護者が少ないことなどから、白紙に戻すことを報告した。2007年度実施方針の小学校についても同様の結果となる見通し。
 市教育委員会実施の小学六年生、中学一、二年生とその保護者を対象にアンケートでは「秩父一中での試行の成果を見て研究をより進めてほしい」という消極的な意見が30・7%、「(夏休みに授業を行うなど)二学期制以外の方法で授業時間を確保してほしい」という反対意見が26%も占めたそうだ。その一方で、賛成する意見は14・6%だけで、「学校で方針を決めてほしい」という意見を含めても30%に届かなかったそうだ。
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なお、余談だが熊谷市については合併市町村全てが2学期制になるようです。以下報道では
   埼玉新聞 2006年2月20日(月)
熊谷市ハートフル・ミーティングにて市民の声を市政に生かそうと熊谷市の富岡清市長は、小学校区単位で地域の人々と意見交換を続けているが、その中で
 旧熊谷市と足並みをそろえる形で始まる二学期制をやめて―との声には「学校行事が増える中で授業量を確保するために必要」と説明した。二学期制を問題にした男性も「納得したわけではないが、次回もあれば参加したい」と話したそうである。

また、熊谷市立熊谷東小学校の学校だより(平成16年11月1日)では
(7) 二学期制について
「メリハリがなくなった。」「季節感を大事に」「3学期制の方が頑張ろう思う機会が多いのでは」。また、「個人面談、冬休みの評価シートなど活用しスムーズに移行できた。」「冬休み前の評価シートが良かった。」「評価シートを詳しく。」などのご意見を戴きました。来年度は、年2回の「あゆみ」の他に、学習状況の評価票を通知するなどして授業時数の確保と共にきめ細かな指導に努め、2学期制の良さを引き出していきたいと思います。
とあります。

さらに、昨年度から2学期制を導入した熊谷市の玉井中学校では、2学期制になってテストや行事が減り、以前よりも年間で10時間以上が確保できるようになり、可能になった」と、2学期制のメリットを強調する。(2005/9/25)とのことです。
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2学期制のメリット、デメリットは双曲にあり、判断のむずかしいところのようです。
田島昭泉は季節感など日本の気候風土にあった3学期制での授業時間取得の研究で対応を考えて頂ければいいのではないかと考えます。わずか10時間の獲得のために獲るものより失うものが大きいのではないかと感じます。5時限の日の6時限活用などや特区利用の土曜授業はできないものでしょうか。

県議会では

なお、この2学期制の問題として県議会での動きはどうか。平成17年9月の一般質問では

埼玉県における二学期制の導入について

質問要旨:今年六月に文部科学省から発表された「義務教育に関する意識調査」の結果を見ますと、「教科の時間が減っており、基礎的・基本的な内容の学習がおろそかになると思うか」という質問に対して、保護者の半数以上が「そう思う」と答えております。また、年間の授業時間を増やすということについては、七割近い保護者が「賛成」と答えております。このような教科の授業時間数が減っていることに対する保護者の不安に加え、学校の教員の間からも「今のままでは、標準として示されている授業時間数を確保することは難しい」という声が聞かれます。学力の低下が指摘されている現在、授業時間数を確保することは大きな課題。本県における現在の二学期制の導入状況と二学期制を積極的に導入する必要があると考えるか、教育長にお尋ねいたします。
教育長答弁要旨:本県の小・中学校では、平成14年度の熊谷市、川本町の2市町3校からはじまりまして、平成15年度は6市町11校、平成16年度は11市町90校、そして現在では、16市町、145の小・中学校で実施しておりまして、年々増加の傾向にございます。「二学期制を積極的に導入すること」についてでございますが、議員お話のとおり、平成14年度の学習指導要領の全面実施に伴い、授業時間数が削減されたましたことから保護者に不安が広がるとともに、学校においても授業時間数の確保は大きな課題となってまいりました。
 その対策として、各学校では、学校行事の見直しや二学期制の導入など、様々に工夫しているところでございます。
 二学期制を導入している市町村教育委員会へ聞き取り調査を行いましたところ、授業時間数の確保により、「問題解決的な学習や体験的な活動を充実させることができた」、「きめ細かな評価に取り組むことができた」などの利点が挙げられております。一方、三学期制と比較して「季節の変化や社会習慣になじまない」、「学期の途中に夏休みという長期の休業日が入り学習リズムが損なわれる」などの課題も挙げられております。
 二学期制を導入するかどうかは、市町村教育委員会が定めることとなっており、多くの市町村では二学期制と三学期制を対比し、検討が行われております。県といたしましては、導入を検討している市町村に、二学期制のメリット、デメリットなど必要な情報を提供し、積極的に支援をしてまいります。