福島原発事故後の対応・事故・発言等の記録+
秩父人の履歴+大飯原再稼働発差し止め訴訟判決文掲載


福島原発事故後の対応・事故・発言等の記録

2011年3月11日14:46 三陸沖震源マグニチュード9.0の地震発生。
運転中の1、2、3号機が自動停止。全交流電源喪失
3月12日 班目原子力安全委員長「原発は大丈夫なんです。構造上爆発しません」
 15:36 1号機水素爆発。放射線量が500μsv/hを超えた。SPEEDI報道なし。
福島県原発安全担当者「直ちに健康に被害をおよぼす数値ではありません。」
枝野官房長官「原子炉格内容器に損傷は無い」
3月13日08:56 3号機、放射線量が500μsv/hを超えた。
3月14日11:01 3号機水素爆発発生 SPEEDI報道なし。
枝野官房長官「放射性物質が大量に飛散している可能性は低い」
3月15日06:20 2号機圧力抑制室付近で異音が発生 
 10:22 3号機周辺で400mSv/hの線量を測定。SPEEDI報道なし。
3月16日 INES暫定評価結果、1、2及び3号機:評価レベル5。4号機:評価レベル3
3月19日 西門付近で放射線量が500μSV/hを超えた
3月21日15:55 3号機、煙が噴出
3月23日 事故後初めて原子力安全委員会がSPEEDI公表
 16:20 3号機、黒煙が噴出
枝野官房長官「直ちに避難や屋内退避をする状況ではない」
3月25日 枝野官房長官「ただちに人体、あるいは健康に影響がない」と、この日までに7回発言。
 23:10 1号機建屋1階水溜り380万ベクレルの放射線量を検出
4月4日 2号機前の海水から濃度限度の約750万倍のヨウ素(131)を検出
4月12日 INES評価、暫定評価はレベル7。
原子力安全委員会試算の大気中への放出総量:ヨウ素、セシウム合計63万テラベクレル
5月4日 細野豪志首相補佐官「SPEEDIを早い段階で公表すべきだった」
12月16日  野田総理大臣『事故の収束を宣言』12月の放射性セシウムは毎時6000万ベクレル

2012年
1月の放射性セシウムは毎時7000万ベクレル
5月5日 日本の原発の全稼動停止。
7月1日 大飯原発再稼動。野田総理大臣「国民の生活を守るために」
9月19日 パブリックコメントの9割が2030年に原発0%支持。
しかし、2030年代に原発をゼロの方針は出すが閣議決定せず。
10月1日 世界初のフルMOX商業炉大間原発建設再開。
11/2 ケーブル誤切断で発煙。1〜4号機に電力を供給している電源ケーブルを作業員が誤って一部切断。
11/18 甲状腺「直ちに2次検査」初判定 福島の放射線影響調査、女性1人がんの疑い
12/10 淡水化装置で96リットル水漏れ。
12/12 2号機の汚染水漏えい調査ロボット等不調。ロボットはほとんどが戻ってこない状況。

2013年
1/18 専用港内のムラソイ(魚)から25万4千ベクレルを検出。
3/11 原発関連死は789人と東京新聞の独自発表
3/18 使用済み燃料プールが停電状態で循環冷却機能を一時喪失。ネズミによる仮設配電盤内漏電が原因。
3/25 約1年4カ月間に、セシウム17兆ベクレル海へ流出か。原発港湾内濃度から試算。
4/30 格納容器調査で小型カメラを導入したがうまく動かず、引き抜きにもできず失敗。
5/1 安倍総理はサウジアラビア訪問で「世界一安全な原発技術を提供できる」と、原発セールス。
5/3 地震大国トルコでも安倍総理が原発セールス「世界で最も高い安全基準を満たす技術でトルコに協力したい」と発言。
5/31 核拡散防止条約に加盟してないインドとも原子力協定交渉再開。
6月5日 福島県の県民健康管理調査で18歳以下で甲状腺がんの診断が「確定」した人が9人増え12人。「がんの疑い」は15人。
6/13 水野靖久復興庁参事官ツイッターで暴言「左翼のクソども」「感じるのは、相手の知性の欠如に対する哀れみのみ」「白黒つけずにあいまいなままにしておく、こんな解決策もある」と書き込み。
6/17 自民党の高市早苗政調会長「福島第一原発を含めて、事故によって死亡者が出ている状況ではない」と発言。
8/6 広島原爆忌の広島で安倍首相は原発を推進する言及。
8/12 放射性物質汚染地下水が1日約300トン海に流出との試算。汚染水のくみ上げを開始。しかし、タンク設置場所に限界。
8/19 汚染水タンク漏出事故。タンク漏出と共に堰の排水弁を開けたままだった。水面で線量100ミリシーベルト超。120Lが外に漏出。
8/20 福島県民健康管理調査検討委員会報告。「甲状腺がん」と確定診断された子供の数が、今回、新たに6人増えて計18人に。
8/26 急造タンクに耐久性が懸念。限界あらわ。対応は後手。汚染は既に外洋や地下水に広がる。
9/7 オリンピック誘致での安倍首相の発言 「東京と福島は250キロ離れているから安全です」「私が安全を保証します。状況はコントロールされています」
「汚染水は0.3平方キロメートルの港湾内に完全にブロックされている」「健康に対する問題はない。今までも、現在も、これからもない」 
9/11 原発関連死は910人と東京新聞の独自発表
9/13 東京電力幹部が首相の安全発言を否定。実際の現場はトラブル続きで、とても制御下にあるとは言えない状況。
9/14 今夏の電力需給結果は「使用率95%を超す日なしの余裕」。関西電力大飯原発が稼働していなくても賄えたと報道。
9/17 制御できない汚染水トラブル続出。汚染水が今も海に流出し続け、地上タンクから漏れた高濃度汚染水は地下水に拡散している。
9/19 福島第一原発を視察した安倍総理は現地でも作業員を背にして「全てコントロールされている」とさらに発言。
10/3 雨水移送タンクから58万ベクレルのストロンチウムなどを含む汚染水が430L漏出。
10/9 汚染水漏れ7トン 6人が被曝。1L当たり3400万ベクレルのストロンチウム等を含む汚染水。
10月21日 東京電力は、台風で地上タンク周辺のせきにたまった雨水をルールを守らず排出。
11月11日 水中カーテン破損相次ぐ。港湾内汚染水対策のもろさ露呈
       安倍首相「影響は港湾内0.3平方キロの範囲内で完全にブロックされている」発言に逆行。
11月27日 世界銀行と国連は「いずれの国においても原子力発電への投資は行わない。電力網の整備、再生可能エネルギー倍増の目標達成に約61兆〜82兆円が必要になるが、資金は新エネルギー開発にのみ使用する。」と明言。
12月2日 3号機プールのがれき撤去開始。高線量で作業難航。

2014年

1月14日 4号機の使用済み核燃料プールからの燃料移送開始。
1月27日 3号機の注水が配管貫通部から漏えい。漏えいカ所の特定はできず。
2月17日 事故直後から昨年10月まで、汚染水の測定でストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質の濃度を過小評価公表が判明。
2月24日 地上タンクから高濃度の汚染水約100トンが漏えい。汚染水にはストロンチウム90など1リットル当たり2億4千万ベクレル含まれていた。
3月13日 福島県の震災関連死として確定した自殺者を含む死者数が1671人となり、地震や津波で亡くなった直接死の1603人を上回った。
3月24日 汚染水処理設備「多核種除去設備(ALPS)」が、トラブルで停止。
4月11日 原子力を「重要なベースロード電源」と閣議決定。民主党前政権の「2030年代に原発稼動ゼロ」施策から大転換。
5月19日 福島健康調査で甲状腺がん診断、「確定」の子供50人に。 「がんの疑い」は39人になった。
5月21日 大飯原発運転差し止め訴訟は人格権と国富、人間の生命を尊重する立場で差し止めと判決。
6月2日 凍土遮水壁の工事開始。国費320億円。維持には1万3千軒の電気を使用。
6月6日 凍土遮水壁は凍結管1500本のうち約170カ所に工事の障害発覚。
6月9日 2号機の格納容器の水位は底部から60センチでは無く約30センチだったと東電発表。
6月11日 家庭向けを含めた電力小売りを2016年に完全自由化する改正電気事業法が成立。
6月17日 石原伸晃環境相は中間貯蔵施設建設をめぐり「最後は金目でしょ」発言
6月22日 自民細田博之幹事長代行「福島の不幸で原発をやめるのは耐えがたい苦痛を未来の日本国民に与える」発言
7月8日 凍土壁凍らず。高濃度汚染水がトレンチ内に1万1000トン貯まり、未だに海に流出。
7月14日 農林水産省は昨年8月の3号機瓦礫撤去作業でセシウムが飛散し、米に基準値越えの汚染があったと報告。
7月16日 原子力規制委員会田中俊一委員長は「川内原発の基準への適合は審査したが、安全だとは私は言わない」
7月31日 東京第五検察審査会は福島第一原発事故で三人を業務上過失致死傷罪で起訴相当と議決したと公表。
8月26日 福島地裁で原発避難と自殺の関係を認め東電に賠償命令。
8月28日 高市早苗政調会長は「デモでうるさい」、また外国人が「見たことない抗議活動だ」として規制を検討すると発言。後日撤回。
9月11日 原発関連死(東京新聞定義)が3年半で1118人へ。
9月15日 全原発停止して1年。☆★☆ 3.11以後に唯一再稼働した大飯原発が1年前に停止。関東等では原発無しで2年以上を経過。

9月15日 国道6号線通行規制解除。除染されてはいても自動車内で最大線量6.38マイクロシーベルト。
9月16日 プルトニウムの保有量は申告漏れ分の2.9トンを追加し7.1トンと報告。
9月18日 福井県知事の「発電所がテロの標的になることが懸念される」に対し政府は自衛隊が警護できる法改正を検討。 
9月26日 ALPSまた停止。
9月26日 福島原発周辺自治体11市町村、77箇所の仮置き場への除染廃棄物は175万トンとなり、福島県内では3000万トンと報告。
9月27日 御岳山噴火。火山に対し甘い原発の対策が問われる。
9月30日 夏の節電期間終了。原発ゼロで乗り切る。受給率95%を越えたのは関電でたった一日だけであった。
10月7日 参院予算委員会にて安倍総理は原発再稼働について「100%安全と言ったことはこれまで一度もない」と発言
     その後、田中俊一原発規制委員会委員長は「安全だということは私は申し上げない」と発言
10月8日 参院予算委員会にて小渕優子経済産業相は電力自由化後の原発運営を配慮し「原発優遇制度を検討している」と発言。
10月8日 汚染水漏れタンクの井戸の地下水からの放射性物質は1リットル当たり1万4千ベクレル検出。他所では9万5千ベクレルも。
10月11日 福島原発港湾近くの井戸で放射性物質は1リットル当たり120万ベクレル。トリチウムは15万ベクレルで前回の10倍となったと報告。
10月13日 福島事故放出セシウムの東京湾河口汚染は局地で1189ベクレルなど発表。(東京新聞調査)
10月16日 飯舘村でNPO法人が除染後の田んぼを調査したところ汚染度はぎ取りは規定の5センチだが、15センチの山砂が入れられていたと報告。
10月18日 1,2号機の護岸にある井戸の地下水で放射性セシウムが1リットル当たり26万4千ベクレルで最高値を検出。
10月22日 「核全廃声明」に国連加盟国の8割、過去最高の155カ国が賛同。この声明は5度目で日本は昨年から声明に参加。
10月28日 1号機の建屋カバー解体に向けた放射性物質飛散防止剤注入作業中に突風の影響でカバーの一部が破れたと発表。
11月5日 福14号機のプールから使用済み核燃料の取り出しを終了。未使用の核燃料が180体は12月20日に終了。
11月5日 秩父市裏山で捕獲されたニホンジカの肉からセシウムが1s当たり530ベクレル検出されたと埼玉県が発表。
11月7日 タンク増設工事で390キロの鋼材が落下し3人が重軽傷。
11月19日 原子力損害の補完的保障条約(メーカー免責条約)の締結案を参院本会議で可決。原発輸出を後押しへの狙い。
11月21日 汚染水凍結止水を断念。10月よりセメント流し込み対策も実施してきたが失敗。
11月25日 東電は原子力損害賠償廃炉等支援機構から34回目の賠償金として738億円の交付を受けたと報告。累計で4兆4582億円となる。
11月26日 茨城県大洗町に新型原子炉(高温ガス炉)の運転再開のための規制委員会への審査申請へ。
11月27日 2号機でプール冷却が停止。制限値への温度上昇には13日の有余があると説明。
12月1日 福1至近の海洋汚染は収束せず。1リットル当たり1ベクレルのセシウム。底砂からは最高で1345ベクレル。(東京新聞独自調査)
12月5日 福1放水路での東電の「不検出」報告は実際には7割からセシウムが検出されてた。
12月7日 街頭演説で、「経済も外交・安全保障も この道しかない」 安倍総裁発言。
12月17日 福1で海に流せないレベルの処理水6トンが漏れた。送水操作の誤りが原因。周りの土にや道路にしみこんだと報告。
12月19日 荒川、隅田川の底泥のセシウム汚染は最高値で398ベクレル。(東京新聞独自調査)
12月19日 南相馬の340人が東電を提訴。避難生活の慰謝料をひとり当たり月額20万円請求。
12月28日 南相馬の避難勧奨解除。ホットスポットの除染が完了し、最大値で毎時1マイクロシーベルトと報告。
12月 「核兵器廃絶決議」に国連116カ国共同提案。163カ国賛成。棄権はロシア、中国、イスラエルで、反対は北朝鮮のみ。


2015年

1月13日 中間貯蔵施設建設を双葉町が容認。
1月14日 経済産業省有識者会議は電力小売り自由化の後も原発の廃炉費用を電気料金に転嫁することを決めた。
1月15日 経済産業省は原発を再稼働した自治体に配る新たな交付金を15億円計上。既存の支援金と合わせて23億円となる。 
1月15日 原発国際補償「補完的保障条約」(メーカー免責条約)に日本が締結。1事故で約70億円の拠出金が受け取れる。
1月19日 雨水受けタンク天井からマンホールの蓋と共に作業員が落下1名死亡。
1月20日 廃棄物処理建屋5階で点検作業中に器具に頭を挟まれ1名死亡。
1月28日 原子力委員会との意見交換にて元事故調査委員長畑村氏は「原子力を扱う限り、事故は今後も必ず起きると認識すべきだ」と発言。
2月11日 2巡目の甲状腺検査で初のがん確定。他7人にガンの疑い。
2月18日 田中俊一原子力規制委員長は「地元は絶対安全、安全神話を信じたい意識があったが、そういうものは卒業しないといけない」と発言。
2月20日 水郷や湖沼や河川にたまるセシウム。霞ヶ関では最高2289ベクレル。手賀沼では4701ベクレル。(東京新聞独自調査)
2月22日 排水路で放射線量が上昇し警報が鳴った。7230ベクレルの排水がそのまま港湾に流れたとみられるが流出量は不明。
2月24日 汚染水の垂れ流しを1年前から把握していたが排水溝も改修せずに放置してきた事が解った。漁連も激怒する。
3月3日 発送電分離は2020年とする政府閣議決定。
3月10日 原発関連死1232人。一年で184人増。(東京新聞独自調査)
3月10日 汚染雨水700トン超漏出。最大で3800ベクレルの汚染水。
3月13日 厚生労働省は原発作業員の被曝引き上げ、緊急時に現行の100ミリシーベルトから250ミリ容認へ。
3月13日 福島県大熊町へ汚染土搬入見切り発車。中間貯蔵として2300人以上の地権者との合意はほとんど取れていない。
3月17日 原発3基(美浜1/2号、敦賀1号)廃炉決定。
3月23日 除染費2兆5000億円回収は困難と会計検査院が指摘。
3月25日 もんじゅ原子炉の心臓部の最重要配管の点検漏れ発覚
3月末日 汚染水対策ではフランス製除染装置の321億円筆頭に合計700億円が無駄になったと会計監査院報告。 
4月10日 4年を経てやっと格納容器にロボットが入る。しかし15m進んだところでストップした。 
4月13日 台湾で日本産食品の輸入新規制。実施している福島、茨城、群馬、栃木、千葉の五県の食品輸入禁止に加え、都道府県毎の産地証明や乳幼児向け一部食品の放射性物質の検査を義務づけた。
4月14日 福井地裁で初の仮処分。高浜原発再稼働認めず。(樋口英明裁判長)
4月15日 政府は原子力損害賠償廃炉等支援機構から東電への6348億円の追加支援を要求通り認定。累計で5兆9348億円となる。
4月16日 経済産業省は原発の事故確立を2011年試算の40年に一度から80年に一度と引き下げると発表。
4月20日 4年を経て4月10日格納容器にロボットが入る。しかし15m進みストップした。2台目も故障で格納容器に放置となった。
4月21日 くみ上げポンプ8台全てが停止し、汚染水が海洋流出
4月22日 原子力規制委員会は住民避難の基本方針でSPEEDIを活用しない他、半径30キロ圏外の避難は事故後に規制委が判断と改定した。
4月23日 関電の解約が最多5000件を超えた。新電力への流出が加速されている。過去最多だった昨年度の1.8倍となった。
5月25日 IAEAは「日本が何十年にも渡り原発の安全性を過信し備えてこなかった。日本には設計基準を超える事故について検討する法的規制が無い」と指摘し、再稼働を危惧。
5月27日 福島原発事故後の調査で13都県のツバメの巣からセシウムを検出。福島県では平均7502ベクレル、最高で9万ベクレル。千葉県で3210ベクレル、最高で1万2900ベクレル。
6月12日 避難解除は17年春までに完了し、月10万円の精神的損害賠償は17年度末で一律終了と閣議決定。
6月17日 発送電分離の実現をさせる改正電気事業法が成立。原発を特別扱いする姿勢と2030年に20%を原発で賄う計画が課題。
6月18日 東京地裁での口頭弁論で「東電は震災2年半前に15.7mの予測津波対策が不可避」との内部文書があったが「6.1m」としていたことが解った。
6月30日 原発避難で自殺に賠償命令。福島地裁で2例目。
7月6日 政府は9月6日を以て楢葉町の避難指示を解除すると発表。
7月7日 東電は千葉県市原市に指定廃棄物処分場建設の説明を実施。
7月8日 経産省は電力自由化の後に「環境にやさしい」といううたい文句は使えないようにするとの方針を出す。
7月10日 九州電力は7月7日に始めた川内原発1号機への核燃料の装填作業を完了した。再稼働は5月15日前後としている。



原発とめよう秩父人の履歴

2011
6/5 脱原発を考える集会ダニーネフセタイ宅
6/10 facebookで『原発とめよう秩父人』情報交換開始
6/12 小鹿野の路地スタでアピール
6/14 秩父郡市小学校6校放射線量計測
6/17 秩父市長へダニーとショウセンで面会 小学校6校の計測報告
6/30 県庁前脱原発パレード「子供を守ろう脱原発」に参加
7/2 ステッカー完成 車に貼ってアピール開始 
7/3 小鹿野のあじさい祭りにて脱原発アピール
7/8 ガイガー10台での秩父地区放射線測定会
7/15 電気は足りてる?勉強会 たんぽぽ舎の原田さん講演
7/16 秩父市環境市民会議にパネル展示で参加
7/18 小鹿野十輪寺にて ダニーさん「平和と原発」講演
8/5 秩父市長に報告と要請書提出
9/19 さようなら原発 5万人集会に参加
10/15-16 秩父環境フェスティバルに参加
10/21 311以前と以後での放射線量比較測定会(横瀬地区)
10/30 緊急講演 福島原発事故の影響は今!市川恵子氏、GREENPEACE花岡和佳男氏
12/3 代々木脱原発集会・デモ参加
12/11 お散歩デモ(長瀞)&署名活動
12/20 自由の森学園に食品計測の勉強会
2012
2/11 私達の未来測定所・秩父おがの 埼玉初の市民測定所開所
3/11 ウニクスにて原発の危険を伝えるイベント開催
   コンサート 署名活動 脱原発ポスター展示  脱原発コント 311デモ参加
3/20 アトミックラビットフェスティバルに協力・参加 山田 真さん講演他
5/5 十輪寺はなまつりに参加 日本の原発の稼働が全て止まる日
5/29 秩父神社に「脱原発絵馬」奉納
6/17 大飯原発再稼働反対デモ(福井県庁前)参加
7/16 さようなら原発 10万人集会へ参加
7/29 脱原発 国会大包囲参加
9/9 長瀞お散歩デモ
10/20 秩父 宮側町ナイトバザールに参加
10/21 小水力発電見学ツアーのご参加を+いわさきちひろ美術館見学
11/2 原発とめよう秩父人 nonukes2013カレンダー完成
11/4 長瀞お散歩デモpart3
12/2 さよなら原発本庄児玉ウォークに参加
※この年より毎週の各地金曜日デモにも参加メンバー多数参加
2013年
1/27「終わらない福島 見つめる未来」講演会
      グリーンピース・ジャパン花岡和佳男さん
      ふくしま集団疎開裁判の会 井上利男さん
      原発いらない福島の女たち 黒田節子さん
3/10 3.11を考えよう 秩父ウニクス 脱原発秩父人オリジナルポスター展示他 
3/16 深谷脱原発デモに参加 
4/2 被災地の現状と放射線の話  NPO人権センターHORIZON片岡 遼平さん(例会にて)
5/4 小鹿野十輪寺花祭りに参加 ライブで脱原発のお話
5/25〜26 福島原発20Km圏ツアー F1から7kmの請け戸の浜まで視察
6/2  「6.2 NO NUKES DAY」参加
6/9 小鹿野路地スタに脱原発アピールブース参加
6/16 大滝ドライブ測定(データを秩父市に報告)
7/7 小鹿野あじさい祭り脱原発アピールブース参加
7/15 福島原発20km圏内ツアー報告会
8/11 ドイツ環境都市フラインブルグ視察報告と秩父再生エネルギーの話 今井美行さん(例会にて)
9/8 元原発作業員の話 今野寿美雄さん(例会にて)
   アンペアダウン節電講座 都幾川町の甲山由美子さん他(例会にて)
9/28 Wong WingTsan コンサート、ウォン&ダニーアトミックトークセッション
10/13 さようなら原発1000万人アクションに参加
10/12  長瀞ふれあいフェスタに脱原発アピールブース参加
10/14 キッズフェスタ(旧芦ヶ久保小学校) に脱原発アピールブース参加
10/22 埼玉秩父の地震の話 関根一昭さん(例会にて)
10/26 大熊町視察(有志)
10/27 深谷デモ(3.11市民ネット深谷主催)に参加
他 定期空間線量測定会実施、各地脱原発公演の協賛。
11/10 まんまる祭りにアピールテント設営。脱原発アンケート実施。
12/7 大デモ代々木に参加。
12/22 小出裕章氏講演(熊谷)にカレンダー販売等アピールコーナー設置
2014年
1/19 秩父市「低炭素まちづくりフォーラム」に参加 脱原発のパネル展示
2/9 竹原あき子さん講演「原発大国とモナリザ」開催
3/1 福島原発事故訴訟団福島の証言集会へ有志参加
3/9 おがわまち行進。日比谷デモに参加
3/11 「3.11をわすれないポスター貼りアクション」秩父地域に新聞折り込み 
3/28 秩父市の給食の放射能検査室訪問へ有志参加
3月 秩父市議会議員立候補予定者へ「原発政策」等のアンケート実施
4/20 小水力発電見学in秩父へ有志参加
4/12 アンケート結果を秩父市域に新聞折り込み
5/4〜5/27 当選市議会議員全員に個別会談実施
5/4 小鹿野十輪寺「花祭り」にアピールテント設営
5/11 橘内芳雅さん講演開催
6/14 脱原発サーカス公演「サーカスはリヤカーに乗って」支援
6/8 小鹿野路地スタにてアピールテント設営
6/14   『サーカスはリヤカーに乗って』@ムクゲ自然公園 森のホール
6/27 「タカキン」高崎駅前金曜脱原発集会
6/28 NO NUKES DAYさよなら原発首都大行進 @明治公園
7/9 原水爆禁止国民平和大行進。秩父地域各地でメンバー参加。



大飯原発3、4号機運転差止請求事件判決要旨

NPJ訟廷日誌(http://www.news-pj.net/diary/1001 )より

大飯原発3、4号機運転差止請求事件判決要旨


主文

1  被告は、別紙原告目録1記載の各原告(大飯原発から250キロメートル圏内に居住する166名)に対する関係で、福井県大飯郡おおい町大島1字吉見1-1において、大飯発電所3号機及び4号機の原子炉を運転してはならない。

2  別紙原告目録2記載の各原告(大飯原発から250キロメートル圏外に居住する23名)の請求をいずれも棄却する。

3  訴訟費用は、第2項の各原告について生じたものを同原告らの負担とし、その余を被告の負担とする。

理由

1 はじめに

 ひとたび深刻な事故が起これば多くの人の生命、身体やその生活基盤に重大な被害を及ぼす事業に関わる組織には、その被害の大きさ、程度に応じた安全性と高度の信頼性が求められて然るべきである。このことは、当然の社会的要請であるとともに、生存を基礎とする人格権が公法、私法を間わず、すべての法分野において、最高の価値を持つとされている以上、本件訴訟においてもよって立つべき解釈上の指針である。

 個人の生命、身体、精神及び生活に関する利益は、各人の人格に本質的なものであって、その総体が人格権であるということができる。人格権は憲法上の権利であり(13条、25条)、また人の生命を基礎とするものであるがゆえに、我が国の法制下においてはこれを超える価値を他に見出すことはできない。したがって、この人格権とりわけ生命を守り生活を維持するという人格権の根幹部分に対する具体的侵害のおそれがあるときは、人格権そのものに基づいて侵害行為の差止めを請求できることになる。人格権は各個人に由来するものであるが、その侵害形態が多数人の人格権を同時に侵害する性質を有するとき、その差止めの要請が強く働くのは理の当然である。

2 福島原発事故について

 福島原発事故においては、15万人もの住民が避難生活を余儀なくされ、この避難の過程で少なくとも入院患者等60名がその命を失っている。家族の離散という状況や劣悪な避難生活の中でこの人数を遥かに超える人が命を縮めたことは想像に難くない。さらに、原子力委員会委員長が福島第一原発から250キロメートル圏内に居住する住民に避難を勧告する可能性を検討したのであって、チェルノブイリ事故の場合の住民の避難区域も同様の規模に及んでいる。

 年間何ミリシーベルト以上の放射線がどの程度の健康被害を及ぼすかについてはさまざまな見解があり、どの見解に立つかによってあるべき避難区域の広さも変わってくることになるが、既に20年以上にわたりこの問題に直面し続けてきたウクライナ共和国、ベラルーシ共和国は、今なお広範囲にわたって避難区域を定めている。両共和国の政府とも住民の早期の帰還を図ろうと考え、住民においても帰還の強い願いを持つことにおいて我が国となんら変わりはないはずである。それにもかかわらず、両共和国が上記の対応をとらざるを得ないという事実は、放射性物質のもたらす健康被害について楽観的な見方をした上で避難区域は最小限のもので足りるとする見解の正当性に重大な疑問を投げかけるものである。上記250キロメートルという数字は緊急時に想定された数字にしかすぎないが、だからといってこの数字が直ちに過大であると判断することはできないというべきである。

3 本件原発に求められるべき安全性

(1)  原子力発電所に求められるべき安全性

 1、2に摘示したところによれば、原子力発電所に求められるべき安全性、信頼性は極めて高度なものでなければならず、万一の場合にも放射性物質の危険から国民を守るべく万全の措置がとられなければならない。

 原子力発電所は、電気の生産という社会的には重要な機能を営むものではあるが、原子力の利用は平和目的に限られているから(原子力基本法2条)、原子力発電所の稼動は法的には電気を生み出すための一手段たる経済活動の自由(憲法22条1項)に属するものであって、憲法上は人格権の中核部分よりも劣位に置かれるべきものである。しかるところ、大きな自然災害や戦争以外で、この根源的な権利が極めて広汎に奪われるという事態を招く可能性があるのは原子力発電所の事故のほかは想定し難い。かような危険を抽象的にでもはらむ経済活動は、その存在自体が憲法上容認できないというのが極論にすぎるとしても、少なくともかような事態を招く具体的危険性が万が一でもあれば、その差止めが認められるのは当然である。このことは、土地所有権に基づく妨害排除請求権や妨害予防請求権においてすら、侵害の事実や侵害の具体的危険性が認められれば、侵害者の過失の有無や請求が認容されることによって受ける侵害者の不利益の大きさという侵害者側の事情を問うことなく請求が認められていることと対比しても明らかである。

 新しい技術が潜在的に有する危険性を許さないとすれば社会の発展はなくなるから、新しい技術の有する危険性の性質やもたらす被害の大きさが明確でない場合には、その技術の実施の差止めの可否を裁判所において判断することは困難を極める。しかし、技術の危険性の性質やそのもたらす被害の大きさが判明している場合には、技術の実施に当たっては危険の性質と被害の大きさに応じた安全性が求められることになるから、この安全性が保持されているかの判断をすればよいだけであり、危険性を一定程度容認しないと社会の発展が妨げられるのではないかといった葛藤が生じることはない。原子力発電技術の危険性の本質及びそのもたらす被害の大きさは、福島原発事故を通じて十分に明らかになったといえる。本件訴訟においては、本件原発において、かような事態を招く具体的危険性が万が一でもあるのかが判断の対象とされるべきであり、福島原発事故の後において、この判断を避けることは裁判所に課された最も重要な責務を放棄するに等しいものと考えられる。

(2)  原子炉規制法に基づく審査との関係

 (1)の理は、上記のように人格権の我が国の法制における地位や条理等によって導かれるものであって、原子炉規制法をはじめとする行政法規の在り方、内容によって左右されるものではない。したがって、改正原子炉規制法に基づく新規制基準が原子力発電所の安全性に関わる問題のうちいくつかを電力会社の自主的判断に委ねていたとしても、その事項についても裁判所の判断が及ぼされるべきであるし、新規制基準の対象となっている事項に関しても新規制基準への適合性や原子力規制委員会による新規制基準への適合性の審査の適否という観点からではなく、(1)の理に基づく裁判所の判断が及ぼされるべきこととなる。

4 原子力発電所の特性

 原子力発電技術は次のような特性を持つ。すなわち、原子力発電においてはそこで発出されるエネルギーは極めて膨大であるため、運転停止後においても電気と水で原子炉の冷却を継続しなければならず、その間に何時間か電源が失われるだけで事故につながり、いったん発生した事故は時の経過に従って拡大して行くという性質を持つ。このことは、他の技術の多くが運転の停止という単純な操作によって、その被害の拡大の要因の多くが除去されるのとは異なる原子力発電に内在する本質的な危険である。

 したがって、施設の損傷に結びつき得る地震が起きた場合、速やかに運転を停止し、運転停止後も電気を利用して水によって核燃料を冷却し続け、万が一に異常が発生したときも放射性物質が発電所敷地外部に漏れ出すことのないようにしなければならず、この止める、冷やす、閉じ込めるという要請はこの3つがそろって初めて原子力発電所の安全性が保たれることとなる。仮に、止めることに失敗するとわずかな地震による損傷や故障でも破滅的な事故を招く可能性がある。福島原発事故では、止めることには成功したが、冷やすことができなかったために放射性物質が外部に放出されることになった。また、我が国においては核燃料は、五重の壁に閉じ込められているという構造によって初めてその安全性が担保されているとされ、その中でも重要な壁が堅固な構造を持つ原子炉格納容器であるとされている。しかるに、本件原発には地震の際の冷やすという機能と閉じ込めるという構造において次のような欠陥がある。

5 冷却機能の維持にっいて

(1) 1260ガルを超える地震について

 原子力発電所は地震による緊急停止後の冷却機能について外部からの交流電流によって水を循環させるという基本的なシステムをとっている。1260ガルを超える地震によってこのシステムは崩壊し、非常用設備ないし予備的手段による補完もほぼ不可能となり、メルトダウンに結びつく。この規模の地震が起きた場合には打つべき有効な手段がほとんどないことは被告において自認しているところである。

 しかるに、我が国の地震学会においてこのような規模の地震の発生を一度も予知できていないことは公知の事実である。地震は地下深くで起こる現象であるから、その発生の機序の分析は仮説や推測に依拠せざるを得ないのであって、仮説の立論や検証も実験という手法がとれない以上過去のデータに頼らざるを得ない。確かに地震は太古の昔から存在し、繰り返し発生している現象ではあるがその発生頻度は必ずしも高いものではない上に、正確な記録は近時のものに限られることからすると、頼るべき過去のデータは極めて限られたものにならざるをえない。したがって、大飯原発には1260ガルを超える地震は来ないとの確実な科学的根拠に基づく想定は本来的に不可能である。むしろ、(1)我が国において記録された既往最大の震度は岩手宮城内陸地震における4022ガルであり、1260ガルという数値はこれをはるかに下回るものであること、(2)岩手宮城内陸地震は大飯でも発生する可能性があるとされる内陸地殻内地震であること、(3)この地震が起きた東北地方と大飯原発の位置する北陸地方ないし隣接する近畿地方とでは地震の発生頻度において有意的な違いは認められず、若狭地方の既知の活断層に限っても陸海を問わず多数存在すること、(4)この既往最大という概念自体が、有史以来世界最大というものではなく近時の我が国において最大というものにすぎないことからすると、1260ガルを超える地震は大飯原発に到来する危険がある。

(2) 700ガルを超えるが1260ガルに至らない地震について

ア 被告の主張するイベントツリーについて

 被告は、700ガルを超える地震が到来した場合の事象を想定し、それに応じた対応策があると主張し、これらの事象と対策を記載したイベントツリーを策定し、これらに記載された対策を順次とっていけば、1260ガルを超える地震が来ない限り、炉心損傷には至らず、大事故に至ることはないと主張する。

 しかし、これらのイベントツリー記載の対策が真に有効な対策であるためには、第1に地震や津波のもたらす事故原因につながる事象を余すことなくとりあげること、第2にこれらの事象に対して技術的に有効な対策を講じること、第3にこれらの技術的に有効な対策を地震や津波の際に実施できるという3つがそろわなければならない。

イ イベントツリー記載の事象について

 深刻な事故においては発生した事象が新たな事象を招いたり、事象が重なって起きたりするものであるから、第1の事故原因につながる事象のすべてを取り上げること自体が極めて困難であるといえる。

ウ イベントツリー記載の対策の実効性について

 また、事象に対するイベントツリー記載の対策が技術的に有効な措置であるかどうかはさておくとしても、いったんことが起きれば、事態が深刻であればあるほど、それがもたらす混乱と焦燥の中で適切かつ迅速にこれらの措置をとることを原子力発電所の従業員に求めることはできない。特に、次の各事実に照らすとその困難性は一層明らかである。

 第1に地震はその性質上従業員が少なくなる夜間も昼間と同じ確率で起こる。突発的な危機的状況に直ちに対応できる人員がいかほどか、あるいは現場において指揮命令系統の中心となる所長が不在か否かは、実際上は、大きな意味を持つことは明らかである。

 第2に上記イベントツリーにおける対応策をとるためにはいかなる事象が起きているのかを把握できていることが前提になるが、この把握自体が極めて困難である。福島原発事故の原因について国会事故調査委員会は地震の解析にカを注ぎ、地震の到来時刻と津波の到来時刻の分析や従業員への聴取調査等を経て津波の到来前に外部電源の他にも地震によって事故と直結する損傷が生じていた疑いがある旨指摘しているものの、地震がいかなる箇所にどのような損傷をもたらしそれがいかなる事象をもたらしたかの確定には至っていない。一般的には事故が起きれば事故原因の解明、確定を行いその結果を踏まえて技術の安全性を高めていくという側面があるが、原子力発電技術においてはいったん大事故が起これば、その事故現場に立ち入ることができないため事故原因を確定できないままになってしまう可能性が極めて高く、福島原発事故においてもその原因を将来確定できるという保証はない。それと同様又はそれ以上に、原子力発電所における事故の進行中にいかなる箇所にどのような損傷が起きておりそれがいかなる事象をもたらしているのかを把握することは困難である。

 第3に、仮に、いかなる事象が起きているかを把握できたとしても、地震により外部電源が断たれると同時に多数箇所に損傷が生じるなど対処すべき事柄は極めて多いことが想定できるのに対し、全交流電源喪失から炉心損傷開始までの時間は5時間余であり、炉心損傷の開始からメルトダウンの開始に至るまでの時間も2時間もないなど残された時間は限られている。

 第4にとるべきとされる手段のうちいくつかはその性質上、緊急時にやむを得ずとる手段であって普段からの訓練や試運転にはなじまない。運転停止中の原子炉の冷却は外部電源が担い、非常事態に備えて水冷式非常用ディーゼル発電機のほか空冷式非常用発電装置、電源車が備えられているとされるが、たとえば空冷式非常用発電装置だけで実際に原子炉を冷却できるかどうかをテストするというようなことは危険すぎてできようはずがない。

 第5にとるべきとされる防御手段に係るシステム自体が地震によって破損されることも予想できる。大飯原発の何百メートルにも及ぶ非常用取水路が一部でも700ガルを超える地震によって破損されれば、非常用取水路にその機能を依存しているすべての水冷式の非常用ディーゼル発電機が稼動できなくなることが想定できるといえる。また、埋戻土部分において地震によって段差ができ、最終の冷却手段ともいうべき電源車を動かすことが不可能又は著しく困難となることも想定できる。上記に摘示したことを一例として地震によって複数の設備が同時にあるいは相前後して使えなくなったり故障したりすることは機械というものの性質上当然考えられることであって、防御のための設備が複数備えられていることは地震の際の安全性を大きく高めるものではないといえる。

 第6に実際に放射性物質が一部でも漏れればその場所には近寄ることさえできなくなる。

 第7に、大飯原発に通ずる道路は限られており施設外部からの支援も期待できない。

エ 基準地震動の信頼性について

 被告は、大飯原発の周辺の活断層の調査結果に基づき活断層の状況等を勘案した場合の地震学の理論上導かれるガル数の最大数値が700であり、そもそも、700ガルを超える地震が到来することはまず考えられないと主張する。しかし、この理論上の数値計算の正当性、正確性について論じるより、現に、全国で20箇所にも満たない原発のうち4つの原発に5回にわたり想定した地震動を超える地震が平成17年以後10年足らずの問に到来しているという事実を重視すべきは当然である。地震の想定に関しこのような誤りが重ねられてしまった理由については、今後学術的に解決すべきものであって、当裁判所が立ち入って判断する必要のない事柄である。これらの事例はいずれも地震という自然の前における人間の能力の限界を示すものというしかない。本件原発の地震想定が基本的には上記4つの原発におけるのと同様、過去における地震の記録と周辺の活断層の調査分析という手法に基づきなされたにもかかわらず、被告の本件原発の地震想定だけが信頼に値するという根拠は見い出せない。

オ 安全余裕について

 被告は本件5例の地震によって原発の安全上重要な施設に損傷が生じなかったことを前提に、原発の施設には安全余裕ないし安全裕度があり、たとえ基準地震動を超える地震が到来しても直ちに安全上重要な施設の損傷の危険性が生じることはないと主張している。

 弁論の全趣旨によると、一般的に設備の設計に当たって、様々な構造物の材質のばらつき、溶接や保守管理の良否等の不確定要素が絡むから、求められるべき基準をぎりぎり満たすのではなく同基準値の何倍かの余裕を持たせた設計がなされることが認められる。このように設計した場合でも、基準を超えれば設備の安全は確保できない。この基準を超える負荷がかかっても設備が損傷しないことも当然あるが、それは単に上記の不確定要素が比較的安定していたことを意味するにすぎないのであって、安全が確保されていたからではない。したがって、たとえ、過去において、原発施設が基準地震動を超える地震に耐えられたという事実が認められたとしても、同事実は、今後、基準地震動を超える地震が大飯原発に到来しても施設が損傷しないということをなんら根拠づけるものではない。

(3) 700ガルに至らない地震について

ア 施設損壊の危険

 本件原発においては基準地震動である700ガルを下回る地震によって外部電源が断たれ、かつ主給水ポンプが破損し主給水が断たれるおそれがあると認められる。

イ 施設損壊の影響

 外部電源は緊急停止後の冷却機能を保持するための第1の砦であり、外部電源が断たれれば非常用ディーゼル発電機に頼らざるを得なくなるのであり、その名が示すとおりこれが非常事態であることは明らかである。福島原発事故においても外部電源が健全であれば非常用ディーゼル発電機の津波による被害が事故に直結することはなかったと考えられる。主給水は冷却機能維持のための命綱であり、これが断たれた場合にはその名が示すとおり補助的な手段にすぎない補助給水設備に頼らざるを得ない。前記のとおり、原子炉の冷却機能は電気によって水を循環させることによって維持されるのであって、電気と水のいずれかが一定時間断たれれば大事故になるのは必至である。原子炉の緊急停止の際、この冷却機能の主たる役割を担うべき外部電源と主給水の双方がともに700ガルを下回る地震によっても同時に失われるおそれがある。そして、その場合には(2)で摘示したように実際にはとるのが困難であろう限られた手段が効を奏さない限り大事故となる。

ウ 補助給水設備の限界

 このことを、上記の補助給水設備についてみると次の点が指摘できる。緊急停止後において非常用ディーゼル発電機が正常に機能し、補助給水設備による蒸気発生器への給水が行われたとしても、(1)主蒸気逃がし弁による熱放出、(2)充てん系によるほう酸の添加、(3)余熱除去系による冷却のうち、いずれか一つに失敗しただけで、補助給水設備による蒸気発生器への給水ができないのと同様の事態に進展することが認められるのであって、補助給水設備の実効性は補助的手毅にすぎないことに伴う不安定なものといわざるを得ない。また、上記事態の回避措置として、イベントツリーも用意されてはいるが、各手順のいずれか一つに失敗しただけでも、加速度的に深刻な事態に進展し、未経験の手作業による手順が増えていき、不確実性も増していく。事態の把握の困難性や時間的な制約のなかでその実現に困難が伴うことは(2)において摘示したとおりである。

エ 被告の主張について

 被告は、主給水ポンプは安全上重要な設備ではないから基準地震動に対する耐震安全性の確認は行われていないと主張するが、主給水ポンプの役割は主給水の供給にあり、主給水によって冷却機能を維持するのが原子炉の本来の姿であって、そのことは被告も認めているところである。安全確保の上で不可欠な役割を第1次的に担う設備はこれを安全上重要な設備であるとして、それにふさわしい耐震性を求めるのが健全な社会通念であると考えられる。このような設備を安全上重要な設備ではないとするのは理解に苦しむ主張であるといわざるを得ない。

(4) 小括

 日本列島は太平洋プレート、オホーツクプレート、ユーラシアプレート及びフィリピンプレートの4つのプレートの境目に位置しており、全世界の地震の1割が狭い我が国の国土で発生する。この地震大国日本において、基準地震動を超える地震が大飯原発に到来しないというのは根拠のない楽観的見通しにしかすぎない上、基準地震動に満たない地震によっても冷却機能喪失による重大な事故が生じ得るというのであれば、そこでの危険は、万が一の危険という領域をはるかに超える現実的で切迫した危険と評価できる。このような施設のあり方は原子力発電所が有する前記の本質的な危険性についてあまりにも楽観的といわざるを得ない。

6 閉じ込めるという構造について(使用済み核燃料の危険性)

(1) 使用済み核燃料の現在の保管状況

 原子力発電所は、いったん内部で事故があったとしても放射性物質が原子力発電所敷地外部に出ることのないようにする必要があることから、その構造は堅固なものでなければならない。

 そのため、本件原発においても核燃料部分は堅固な構造をもつ原子炉格納容器の中に存する。他方、使用済み核燃料は本件原発においては原子炉格納容器の外の建屋内の使用済み核燃料プールと呼ばれる水槽内に置かれており、その本数は1000本を超えるが、使用済み核燃料プールから放射性物質が漏れたときこれが原子力発電所敷地外部に放出されることを防御する原子炉格納容器のような堅固な設備は存在しない。

(2) 使用済み核燃料の危険性

 福島原発事故においては、4号機の使用済み核燃料プールに納められた使用済み核燃料が危機的状況に陥り、この危険性ゆえに前記の避難計画が検討された。原子力委員会委員長が想定した被害想定のうち、最も重大な被害を及ぼすと想定されたのは使用済み核燃料プールからの放射能汚染であり、他の号機の使用済み核燃料プールからの汚染も考えると、強制移転を求めるべき地域が170キロメートル以遠にも生じる可能性や、住民が移転を希望する場合にこれを認めるべき地域が東京都のほぼ全域や横浜市の一部を含む250キロメートル以遠にも発生する可能性があり、これらの範囲は自然に任せておくならば、数十年は続くとされた。

(3) 被告の主張について

 被告は、使用済み核燃料は通常40度以下に保たれた水により冠水状態で貯蔵されているので冠水状態を保てばよいだけであるから堅固な施設で囲い込む必要はないとするが、以下のとおり失当である。

ア 冷却水喪失事故について

 使用済み核燃料においても破損により冷却水が失われれば被告のいう冠水状態が保てなくなるのであり、その場合の危険性は原子炉格納容器の一次冷却水の配管破断の場合と大きな違いはない。福島原発事故において原子炉格納容器のような堅固な施設に甲まれていなかったにもかかわらず4号機の使用済み核燃料プールが建屋内の水素爆発に耐えて破断等による冷却水喪失に至らなかったこと、あるいは瓦礫がなだれ込むなどによって使用済み核燃料が大きな損傷を被ることがなかったことは誠に幸運と言うしかない。使用済み核燃料も原子炉格納容器の中の炉心部分と同様に外部からの不測の事態に対して堅固な施設によって防御を固められてこそ初めて万全の措置をとられているということができる。

イ 電源喪失事故について

 本件使用済み核燃料プールにおいては全交流電源喪失から3日を経ずして冠水状態が維持できなくなる。我が国の存続に関わるほどの被害を及ぼすにもかかわらず、全交流電源喪失から3日を経ずして危機的状態に陥いる。そのようなものが、堅固な設備によって閉じ込められていないままいわばむき出しに近い状態になっているのである。

(4) 小括

 使用済み核燃料は本件原発の稼動によって日々生み出されていくものであるところ、使用済み核燃料を閉じ込めておくための堅固な設備を設けるためには膨大な費用を要するということに加え、国民の安全が何よりも優先されるべきであるとの見識に立つのではなく、深刻な事故はめったに起きないだろうという見通しのもとにかような対応が成り立っているといわざるを得ない。

7 本件原発の現在の安全性

 以上にみたように、国民の生存を基礎とする人格権を放射性物質の危険から守るという観点からみると、本件原発に係る安全技術及び設備は、万全ではないのではないかという疑いが残るというにとどまらず、むしろ、確たる根拠のない楽観的な見通しのもとに初めて成り立ち得る脆弱なものであると認めざるを得ない。

8 原告らのその余の主張について

 原告らは、地震が起きた場合において止めるという機能においても本件原発には欠陥があると主張する等さまざまな要因による危険性を主張している。しかし、これらの危険性の主張は選択的な主張と解されるので、その判断の必要はないし、環境権に基づく請求も選択的なものであるから同請求の可否についても判断する必要はない。

 原告らは、上記各諸点に加え、高レベル核廃棄物の処分先が決まっておらず、同廃棄物の危険性が極めて高い上、その危険性が消えるまでに数万年もの年月を要することからすると、この処分の問題が将来の世代に重いつけを負わせることを差止めの理由としている。幾世代にもわたる後の人々に対する我々世代の責任という道義的にはこれ以上ない重い問題について、現在の国民の法的権利に基づく差止訴訟を担当する裁判所に、この問題を判断する資格が与えられているかについては疑問があるが、7に説示したところによるとこの判断の必要もないこととなる。

9 被告のその余の主張について

 他方、被告は本件原発の稼動が電力供給の安定性、コストの低減につながると主張するが、当裁判所は、極めて多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いの問題等とを並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否を判断すること自体、法的には許されないことであると考えている。このコストの問題に関連して国富の流出や喪失の議論があるが、たとえ本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失であると当裁判所は考えている。

 また、被告は、原子力発電所の稼動がCO2排出削減に資するもので環境面で優れている旨主張するが、原子力発電所でひとたび深刻事故が起こった場合の環境汚染はすさまじいものであって、福島原発事故は我が国始まって以来最大の公害、環境汚染であることに照らすと、環境問題を原子力発電所の運転継続の根拠とすることは甚だしい筋違いである。

10 結論

 以上の次第であり、原告らのうち、大飯原発から250キロメートル圏内に居住する者(別紙原告目録1記載の各原告)は、本件原発の運転によって直接的にその人格権が侵害される具体的な危険があると認められるから、これらの原告らの請求を認容すべきである。

福井地方裁判所民事第2部

 裁判長裁判官 樋口英明

    裁判官 石田明彦

    裁判官 三宅由子